OSSの用途が拡大し、利用者が増加するにつれて、OSS自体をビジネスとする企業があらわれてきました。このような企業のビジネス・モデルとして代表的なものに、OSSサポート・サービスとコマーシャルOSSがあります。
OSSサポート・サービスは、OSSの利用者に対して、インストール、セットアップ、バージョンアップといった技術的なサービスを提供するものです。
このビジネスはOSSを企業が導入するにあたり、自社のOSSに関する技術スキルを補完するために利用することで成り立ちます。
もう一つのコマーシャルOSSは、本来、無償であるはずのOSSを有償で提供するビジネスです。したがって、コマーシャルOSSを販売するベンダーは、無償で入手できるOSSに、何かしらの付加価値を付けなければなりません。
コマーシャルOSSが提供する基本的な付加価値としては、開発はすべてコミュニティが行いますが、それに加えて、ベンダーがインストーラやマニュアルなど、ふつうのOSSでは、あまり手がまわらないパッケージに関する作業を行うため、OSSに関する技術スキルを持たない企業でも、有償ソフトウエアと同じ感覚で導入できるという点にあります。
また、コマーシャルOSSは買い取りライセンスではなく、サブスクリプションと呼ばれる年間契約のライセンス形態であることが多く、このサブスクリプションの料金にサポート・サービスを含めることで、利用する企業に安心感を持たせる戦略をとっています。
しかし最近になって、コマーシャルOSSの中には、従来のOSSとはまったく異なるモデルも登場しています。そのモデルとは、ソフトウエア開発はベンダーが行い、有償版ソフトウエアとして提供すると同時に、ソースコードをOSSとして公開するというモデルです。
このモデルで提供されるOSSもコマーシャルOSSと呼ばれますが、ソースコードの著作権はベンダーが持っていて、コミュニティによる開発の成果を取り入れるかどうかもベンダーが判断するという点で、本来のOSSの理念とは異なるのではないかという議論も起こっています。
OSS×Cloud ACCESS RANKING