オープンソース活用研究所 | 【セミナーレポート】Zenko Night #04---Zenko開発エンジニアがフランスから来日解説

【セミナーレポート】Zenko Night #04---Zenko開発エンジニアがフランスから来日解説

オープンソース活用研究所

2018年06月22日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

「Zenko」とは、いま注目されているオープンソースの1つで、Amazon S3 APIでマルチクラウドのデータを一括管理できるデータストレージソリューションです。

2018年5月16日(水)に、Zenkoのイベント「Zenko Night #04」が開催されました。

前回までの「Zenko Night」レポートはこちらを参照ください。
→【セミナーレポート】Zenko Night #01---Amazon S3 APIでマルチクラウドのデータを一括管理するオープンソース「Zenko」とは
→【セミナーレポート】Zenko Night #02---マルチクラウド・ポータビリティの実現を目指す、DockerとZenko

本レポートでは、Zenko Night #04の一部をピックアップしてお伝えします。

今回のセミナーでは、フランスからZenko開発エンジニアであるローアさんをお迎えして、ローアさんが英語で説明され、それをスキャリティ・ジャパンの仁戸さんが通訳しながら解説していくというスタイルで実施されました。

マルチクラウドの用途と課題

複数のクラウドサービスを連携させて利用する「マルチクラウド」の利用が増加してきています。

マルチクラウドの用途

最近では、次のようなマルチクラウドのユースケースが出てきています。
・コンテンツ配信---世界規模での配信
・クラウドバースティング---オンデマンドで大量のコンピューティングリソースを利用
・アナリティクス---マシンラーニングAPIを使用するアナリティクスサービス構築
・コールドストレージ---低価格で長期間のデータ保管 など

マルチクラウドの課題

有効に活用できるマルチクラウドですが、いくつかの課題も存在します。
・どのクラウドにどのようなデータがあるのか把握しづらい
・利用料が発生するためデータ保管状況を適切に管理する必要がある
・ベンダーロックイン---AWSのS3に対する過度の依存 など

マルチクラウドデータコントローラ「Zenko」のメリット

「Zenkoを利用することでマルチクラウドに関する課題の解消につながる」として、Zenkoのメリットについて解説されました。

シングルインターフェース(Amazon S3 API)

デファクトスタンダードとなっているAmazon S3のAPIで、複数のクラウドストレージサービスに対する操作を行えます。S3のAPIで、AWS以外に、AzureやGoogle Cloudに対する読み書きが可能です。

開発エンジニアやアプリケーション設計者の方にとっては、「S3のAPIだけ習得しておけば、Zenkoが対応するすべてのクラウドストレージサービスを使える」という大きなメリットになります。

クラウドネイティブフォーマット

Zenkoを通じて書き込まれたデータは、対象クラウドのネイティブフォーマットで書き込まれるため、対象クラウドの優れたサービスが直接アクセスできます。

メタデータ検索

メタデータをZenko内部に保持するため、どこにどのようなデータがあるのかについて、高速で検索できます。

トリガーアクション

AmazonのLambdaサービスのようにイベントドリブンによるアクション実行を行えます。

「このバケットにデータが入ってきたら、このバケットにレプリケーションする」などの処理を自動化できます。

1エンドポイント

Zenkoを使用すると、「1つのネームスペースで」「1つのエンドポイントで」「1つのAPI」で、対応するすべてのクラウドストレージに対する処理を行えます。オンプレミスストレージに対するデータ処理も可能です。

Zenkoマネージメントポータル「Zenko Orbit」

「Zenko Orbit」とは、Zenkoの使いやすさを向上させるマネージメントポータルです。GUIを利用して分かりやすくZenkoに関する各種設定を行えます。

以下のような各種設定に利用できます。
・エンドポイント設定---Zenkoにどのようにアクセスするのか?
・ロケーション設定---どのようなクラウドストレージを配下につけるか?
・アクセスキーの管理 など

「Zenko S3 API」の独自機能拡張API

「Zenko S3 API」の機能拡張APIについて紹介がありました。

機能拡張API(Extended APIs)とは、Amazonが開発しているS3の標準APIではカバーされていない機能で、スキャリティ社において独自で追加された機能とのことです。

メータリング機能

Utilization API for metering of capacity #objects, bandwidth & ops

メータリング機能は、「バケット」「ユーザー」「グループ」「アカウント」などの単位で、各種メトリック情報を取得できる機能です。

以下のメトリックを取得できます。
・どのようなエンティティがどれくらいのオブジェクトを保存しているのか?
・どれくらいの容量を使っているのか?
・単位時間あたりでどれくらいのトランザクションがあるのか?
・どれくらいのリクエストAPIを発行しているのか? など

AWSのCloudWatchのような機能ですが、CloudWatchよりも詳細なデータを取得できます。

サービスプロバイダなら課金指標として活用できます。また、企業ユースであれば、部門単位で詳細な利用状況を把握できます。

クロスリージョンレプリケーション機能

Bucket CRR 1-to-many

Amazonの標準S3では、1つのリージョンから別のリージョンにレプリケーションを行えますが、1:1のレプリケーションしか行なえません。

「Zenko S3 API」の「クロスリージョンレプリケーション機能」では、1:nのレプリケーションが可能です。AWSから「AWS」と「Azure」と「Google Cloud」の3箇所にレプリケーションを行う1toManyのレプリケーションを実行できます。

Zenkoユースケース紹介

Zenkoの導入事例について紹介がありました。

ユースケース① 金融系メディア最大手

こちらのユーザー様は、ワールドワイドで活動するアメリカの金融系メディア企業で、記事作成だけではなく「インターネット配信」「動画配信」などの配信事業もされています。

ITインフラをクラウドにシフトする大転換をして、さまざまなワークロードをすべてクラウド上に移しています。メインストレージとしてAWSとAzureを利用して、一部Google Cloudも利用しています。

「地域ごとにクラウド配信サービスのコストが異なる」「地域ごとにレスポンスタイム(性能)が異なる」などの理由により、地域ごとに異なるクラウドサービスを利用しています。
Zenkoを導入したことで、複数のクラウドを一元的に利用することが可能になっています。

動画データに、動画サイズや使われ方によってタグをつけて、Zenkoの機能を利用して、タグによるデータの最適配置が行われています。

大量の動画データが、さまざまなクラウドストレージに格納されているため、統合的に管理する必要があります。
Zenkoを通して書き込んだ動画データについては、Zenko内部にメタデータを保持しているため、透過的な一括検索が可能です。
この部分についても、クライアントから高い評価をいただいているとのことです。

ユースケース② 米国保険最大手

アメリカの非常に大きな保険会社様の事例です。

こちらのユーザー様はAWSのみを利用していたため、ベンダーロックインに対する懸念がありました。
Zenkoを導入して、AWSとAzureの2つのクラウドを利用されています。

同社の開発エンジニアの方々は、AWSのみを利用していたため「S3 API」をメインに利用されていました。
Zenkoの場合、Azureに対してでも「S3 API」を利用できるため、Azure用APIを新しく習得するためのコストを削減できたというメリットもあるそうです。

ユースケース③ 交通系SaaSサービス最大手

交通系SaaSサービスを提供しているユーザー様の事例です。

こちらのSaaSサービスは、国際線に関しては世界でNo1のシェアを誇り、多くの航空会社が利用しています。日本でも、ANAやJALが国際線の発券/搭乗手続きで使用しています。
ヨーロッパでは、航空会社だけではなく、鉄道関連のチケット管理にも利用されているそうです。

こちらのSaaSサービスは公共交通機関にサービスを提供しているため、万が一、サービスが停止すると、世界レベルの多大な影響を及ぼしてしまいます。
30分間サービスが止まっただけで、世界中の飛行機が飛べなくなってしまい、その混乱が1週間以上続いてしまったこともあるそうです。当然、違約金は莫大な額になります。
そのため、サービス可用性を高める方針を立てていて、「アンリミテッドバジェット(無制限予算)」を掲げているほどです。

Zenkoは、1toManyでレプリケーションできるクロスリージョンレプリケーション機能を提供し、絶対に止めてはいけないシステムのアベイラビリティを高めるための仕組みとして利用されています。

まとめ

「Zenko Night #04」はいかがでしたでしょうか。

Zenko開発者であるローアさんならではの「Zenko開発における裏話」や「深いテクニカルなお話」などについて興味深く聞くことができ、Zenkoに対する理解を深められたように思います。

「Zenkoハンズオン」「ライトニングトーク」「ビアバースト」など、残念ながら今回ご紹介しきれていない部分が多々あります。Zenko Nightは今後も開催される予定です。お時間があれば、ぜひご参加ください。

講演資料

講演資料は、以下のURLより無料で取得していただけます。
ぜひご参考いただければと思います。
https://majisemi.com/e/c/scality-20180516

次回予定「Zenko Night #05」

次回の「Zenko Night #05」は、6月28日(木)に開催予定です。
Zenkoに興味を持っていただいた方は、ぜひご参加ください!

以下のURLから申し込みできます。
→Zenkoハンズオン(デプロイと、クラウド~クラウド間、クラウド~オンプレ間のレプリケーション)/Zenko Night #05


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著者プロフィール

オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス 「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。

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