オープンソース活用研究所 | 【セミナーレポート】OSSがリードする「AI/Deep Learning」「自動運転」「ロボット開発」(2/3)

【セミナーレポート】OSSがリードする「AI/Deep Learning」「自動運転」「ロボット開発」(2/3)

オープンソース活用研究所

2018年04月18日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

2018年3月12日に開催された特別セミナー「OSSがリードする先進分野の技術」について、全3回に分けてセミナーレポートとしてご紹介します。

「OSSがリードする先進分野の技術」セミナーレポート目次
第1回:「セミナー概要」+「ディープラーニングを利用した音声認識と音声合成」
第2回:「オープンソースの活用が進む、ロボット開発」+「公道実験、実証実験が進む⾃動運転 / Autoware」
第3回:「日本生まれのオープンソース、Deep LearningフレームワークのChainer」+「懇親会/ライトニングトーク」

第2回は、2つのセッション「オープンソースの活用が進む、ロボット開発」と「公道実験、実証実験が進む⾃動運転 / Autoware」についてレポートします。

オープンソースの活用が進む、ロボット開発

次に、「ロボット開発/ RT-Middlewareの特⻑と最新動向」というテーマで、産業技術総合研究所 ロボットイノベーション研究センター ロボットソフトウェアプラットフォーム研究チーム⻑の安藤慶昭氏が講演されました。

■RT-Middlewareとは

「RT-Middleware(Robot Technology-Middleware)」とは、モジュール化されたソフトウェアを組み合わせてロボット制御システムを構成するミドルウェアツール群です。モジュールを組み合わせてロボット制御システムを構築できます。2002年前後から、産業技術総合研究所で研究開発をしています。

RT-Middlewareは「リアルタイム制御」で特に力を発揮します。例えばヒューマノイドロボット(多軸ロボット)などの「モーター数が多く複雑な制御が必要なロボット」では、リアルタイム制御が重要ですが、このような領域で活用されるものです。1ミリ秒~5ミリ秒周期で姿勢安定化制御を行える性能を有しているそうです。

またRT-Middlewareでは、複数のシステム(ロボット)が連携して動作できるシステムを構築できます。「ロボット内LAN連携」「ネットワーク越しの連携」などの分散システムを容易に構築できます。

産業技術総合研究所では、RT-Middleware実装を「OpenRTM-aist」というオープンソースとしてリリースしています。ライセンスは「LGPL(ツールはEPL)と個別契約のデュアルライセンス方式」になっており、「コンポーネント(RTC)の自由な流通」と「ハード固有の改良などに対するクローズド戦略」に対応しています。RT-Middlewareの仕様は標準化されており、他にも本田技術研究所版「HRTM」や、セック版「OpenRTM.NET」など、10種類以上の互換実装が存在しています。

RT-Middleware開発チームをはじめとしたロボット関連の開発チームは、日本でも世界でも「オープンソース活用」を積極的に行っているそうです。安藤氏は『私達が関わっているプロジェクトでも、オープンソース活用について真正面から取り組み、さらに活用を進めていきたい』と、抱負を述べられました。

講演資料はこちら:「ロボット開発 / RT-Middleware の特長と最新動向」( https://www.scsk.jp/lib/product/oss/pdf/OSS_D2.pdf

公道実験、実証実験が進む「⾃動運転 / Autoware」

次に、「⾃動運転 / Autowareの特⻑と最新動向」というテーマで、⼤阪⼤学 ⼤学院基礎⼯学研究科 助教 安積卓也氏が講演されました。

⾃動運転ソフトウェアとは、ドライバーに代わり、ハンドル/アクセル/ブレーキを操作する機能を提供するものです。車体内部のエンジンに対する直接制御などは含みません。その中で、「Autoware」という、オープンソースの自動運転システムがあります。各種環境センサーを利用して、自車位置や周囲物体を認識しながら、指定されたルート上を自律走行できるとのことです。名古屋大学/長崎大学/産総研による共同成果の一部として、自動運転の研究開発用途に無償で公開されています。

Autowareは、Ubuntuで動く、ロボット用ミドルウェア「ROS(Robot Operating System)」上で動作します。ROSは、ロボット開発におけるライブラリやツールを提供するもので、「Publish / Subscribe モデル」「分散システム」「視覚化・シミュレーション」「豊富なパッケージ(デバイスドライバ/ライブラリ)」などの特徴があります。

自動運転を行う場合、自分の車の位置を正確に把握する必要があります。Autowareでは、さまざまな状況に対応できるように、「GPS」「⾼精度3次元地図」「360度距離測定センサー(LIDAR)」「スキャンマッピング」などの各種技術を活用して、自己位置を推定します。また、カメラなどのセンサーを使用して、周囲の状況を取得/分析して車両操作を行います。Autowareの物体認識機能では、ディープラーニングを活用しています。ディープラーニング技術の発達により、30フレーム/秒以上の処理が行えるようになってきているそうです。

また、Autowareでは
・ステップ1:大まかな経路設定(現在いる場所からゴールまでのおおまかな経路を設定)
・ステップ2:軌道生成(現在いる位置から50メートル先程度までについて、車線変更や物体回避を行うための詳細な軌道を作成)
・ステップ3:車両制御(生成された詳細な軌道に沿ってハンドルを操作して、車両をコントロール)
という3ステップで経路計画を作成して、車両制御を行うとのことでした。

現在、Autowareを利用した「公道実験」「日本郵便での実証実験」などが行われています。講演内では、自動運転の動画を交えたわかり易い説明が行われ、安積氏は『オープンソースソフトウェアを組み合わせるだけで、ある程度の自動運転を実現できるようになってきています』と語られました。

講演資料はこちら:「自動運転 / Autoware の特長と最新動向」( https://www.scsk.jp/lib/product/oss/pdf/OSS_D3.pdf

次回は、
第3回:「日本生まれのオープンソース、Deep LearningフレームワークのChainer」+「懇親会/ライトニングトーク」
についてお届けします。

「OSSがリードする先進分野の技術」セミナーレポート目次
第1回:「セミナー概要」+「ディープラーニングを利用した音声認識と音声合成」
第2回:「オープンソースの活用が進む、ロボット開発」+「公道実験、実証実験が進む⾃動運転 / Autoware」
第3回:「日本生まれのオープンソース、Deep LearningフレームワークのChainer」+「懇親会/ライトニングトーク」


OSSNEWSに広告を掲載しませんか?

著者プロフィール

オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス 「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。

最新TOPICS

【講演資料を公開!】4/19「【SIer向け】顧客企業の「認証・ID管理」の課題を理解し、 オープンソース(OpenAMなど)を活用した「刺さる提案」をするために」(2018年05月19日 13:30)

2018/4/19(木)15:30~17:00 マジセミ竹芝オフィスにて「【SIer向け】顧客企業の「認証・ID管理」の課題を理解し、オープンソース(OpenAMなど)を活用した「刺さる提案」をするために」と題したセミナーを開催しました。 当日は、質疑応答も多く大変活気のあるセミナーとなりました。 セミナー後、具体的なお話をもっと聞かれたいという参加者の方もいらしっしゃいました。 おかげ...

関連オープンソース

Torch(トーチ)

  • AI・人工知能

Torch(トーチ)とは、「機械学習ライブラリ」「科学計算フレームワーク」です。GPUを活用する機械学習アルゴリズムを幅広くサポートしています。

Pylearn2(パイラーンツー)

  • AI・人工知能

Pylearn2(パイラーンツー)とは、数値計算ライブラリ「Theano」ベースのオープンソースディープラーニングライブラリです。

scikit-learn(サイキットラーン)

  • AI・人工知能

scikit-learn(サイキットラーン)とは、Pythonのオープンソース機械学習ライブラリです。機能が充実している高品質ライブラリです。

MXNet(エムエックスネット)

  • AI・人工知能

MXNet(エムエックスネット)とは、「効率」と「柔軟性」を両立したディープラーニングフレームワークです。AWSが公式サポートを表明したことで大きな注目を集めています。

Theano(テアノ)

  • AI・人工知能

Theano(テアノ)とは、Python用数値計算ライブラリです。多次元配列を効率的に使用する数式について定義/最適化/評価でき、ディープラーニング計算処理によく利用されます。

DSSTNE(デスティニー)

  • AI・人工知能

DSSTNE(デスティニー)。ディープラーニングライブラリです。Amazonがオープンソース公開したもので、スパース(疎)データに強いという特徴があります。

Caffe(カフェ)

  • AI・人工知能

Caffe(カフェ)。オープンソースのディープラーニングライブラリです。画像認識に特化しており、高速処理が可能です。

Chainer(チェイナー)

  • AI・人工知能

Chainer(チェイナー)。日本製の深層学習フレームワークです。ニューラルネットワークをPythonで柔軟に記述し、学習させることができます。

TensorFlow(テンソルフロー)

  • AI・人工知能

TensorFlow(テンソルフロー)。Googleの機械学習/ディープラーニング/多層ニューラルネットワークライブラリです。データフローグラフを使用したライブラリで、複雑なネットワークを分かりやすく記述できます。

Microsoft Cognitive Toolkit(マイクロソフトコグニティブツールキット)

  • AI・人工知能

Microsoft Cognitive Toolkit(マイクロソフトコグニティブツールキット)。AI技術を利用したディープラーニング(深層学習)ツールキットです。旧称「CNTK」から改名されました。

バックナンバー

関連記事

無料資料プレゼント

機械学習導入にあたって理解したい4つのステップ

講演資料を見るには、 プライバシーポリシーに同意して、送付先メールアドレスをご入力しご請求ください。

またご入力いただきました情報は、当該資料の作成・提供企業とも共有させていただき、当社及び各社のサービス、製品、セミナー、イベントなどのご案内に使用させていただきます。

本資料を見るには次の画面でアンケートに回答していただく必要があります。



  • 勉強会

facebook

twitter