オープンソース活用研究所 | 三回目「基本機能無料のSSO/ID管理クラウドサービス『SKUID』への期待」

三回目「基本機能無料のSSO/ID管理クラウドサービス『SKUID』への期待」

オープンソース活用研究所

2017年07月18日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

2017年4月5日、渋谷にあるGMOグローバルサイン株式会社において、「【パートナー募集】基本機能無料のSSO/ID管理クラウドサービス『SKUID』との協業で貴社のビジネスを拡大する」と題したセミナーを開催しました。

本セミナーでは、基本機能無料のSSO/ID管理クラウドサービス「SKUID」を紹介するとともに、「SKUID」やパートナーとの協業プランについて、参加者からご意見をいただきました。

本レポートでは、参加者からいただいたご意見を3回にわたりご紹介します。第3回は、SKUIDと自社サービスとを組み合わせて提供することに関する議論です。

クラウドサービスの代理店でも参加できるプログラムにしてほしい

ファシリテーター:SKUIDの活用に関して、他のアイデアはありますか。

参加者J:弊社はクラウドサービスでいくつかの会社のパートナー、いわゆる代理店になっています。例えばSKUIDを入れた当社のお客様が、SKUIDのマーケットプレイスでクラウドサービスを購入した場合、弊社の代理店契約の範囲外、つまり代理店手数料が入ってこないということですよね。

ファシリテーター:今のところはそうだと思います。それは御社にとってビジネスのネックになりそうですか。

参加者J:代理店はどこで手数料を取るのかという話です。SKUIDのマーケットプレイスで弊社が利益を出せるのであればそれで構いません。しかし、弊社がSKUIDのパートナーとして初期導入を支援したとして、その後はお客様がマーケットプレイスから直接色々なサービスを受けることができるとなると、販売代理店としての役割がなくなっていくのではないかと懸念しています。

ファシリテーター:そこは改善の余地があると思いますので、ご意見も伺いながら何らかの方法を考えさせていただきたいと思います。ご指摘ありがとうございます。

APIの認証にも対応してほしい

ファシリテーター:パートナープログラムの内容について、「もっとこうしてくれると、うちのビジネスが儲かるんだけど」というような話はありますか。

参加者K:私はクラウドのEAIツール、データ連携のためのツールを提供するビジネスを行っています。基本的には代理店を増やし、営業を行ってもらう形をとっています。

ファシリテーター:SKUIDとはどのような協業のイメージでしょうか。

参加者K:私どもの製品とSKUIDを組み合わせたサービスを開発し、それをSKUIDのマーケットプレイスで販売できればと思いました。SKUIDは認証のところだけに特化していますが、弊社のサービスは、例えばマスタデータやWebシステムで入力したデータを他のサービスに連携するというものなので、その認証機能としてSKUIDを使いたいと思います。また、現在は対応していないでしょうが、例えばサイボウズのKintoneであれば、Kintone用のID・パスワードを入れなければKintoneのAPIを使えないところを、SKUIDのID・パスワードを入れることによって各アプリケーションの認証が完了し、APIを使えると面白いと思います。

ファシリテーター:APIの認証のところで、SSOのようなことができれば良いということですか。

参加者K:そうですね。

ファシリテーター:面白いアイデアですね。検討させていただきます。ぜひご一緒させていただければと思います。

ID管理のビジネスとSKUIDを組み合わせていきたい

ファシリテーター:参加者Lさんは、SKUIDをOpenAMに並んで両方提案できるようにしたいということでしょうか。

参加者L:そうです。弊社は統合ID管理のパッケージ商品を主力で提供しており、その統合ID管理はMicrosoft ADのサブツール的な要素です。ほとんどのお客様が1,000ユーザー以上で、自社ではAD管理ができないところに弊社製品を提案しています。私どもはシングルサインオンではOpenAMを使っていますが、苦労した部分があり、SKUIDのようなクラウドを検討しようと思いました。しかし無料ということもあり、どのようにビジネスにすれば良いか悩んでいます。

ファシリテーター:なるほど。恐らく1,000名以上の規模のID管理となると、現状のSKUIDではID管理機能が弱く、個別対応しなければならない部分が必然的に出てきます。「OpenAMだと少し高い」というお客様に対して、SKUIDと御社のID管理をセットで提案することは選択肢の一つになると思います。

いかがでしたか。GMOではこれらのご意見を参考にしながら、今後のサービス拡張や改善に生かしていくとのことです。

ご参考

SKUIDのサービスサイト
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「基本機能無料のSSO/ID管理クラウドサービス『SKUID』への期待」
第一回目 SKUIDのOEM提供に対する要望や、生体認証への対応
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「基本機能無料のSSO/ID管理クラウドサービス『SKUID』との協業で貴社のビジネスを拡大する」
第一回目 基本機能無料のSSO/ID管理クラウドサービス『SKUID』とは
第二回目 認証局ならではの強固なセキュリティを提供する、SSO/ID管理クラウドサービス『SKUID』
第三回目 SSO/ID管理クラウドサービス『SKUID』は、なぜ無料で提供できるのか?

「認証・ID管理の課題と、今後「SKUID」に求められる機能」
第一回目 人事異動への対応やSAML認証への対応
第二回目 SLAや監査への対応
第三回目 利用環境


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著者プロフィール

オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス 「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。

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