オープンソース活用研究所 | 第二回目「サービス型で実現する運用管理のすすめ」

第二回目「サービス型で実現する運用管理のすすめ」

オープンソース活用研究所

2017年02月07日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

「高機能で安全」なことから、大手企業でも導入が進むAWS (Amazon Web Services)。とはいえ実際には、AWSと従来の自社データセンター(オンプレミス)を併存させるいわゆるハイブリッド環境もよくみられ、このようなハイブリッド環境において押さえておきたいいくつかのポイントがあります。

2016年9月15日に都内で、このようなポイントについて解説する「今時の企業情報システム運用、知らないと損をするオンプレミスとAWSのつきあい方 ~ 情報システム部門の方々に贈るTISからのメッセージ ~」セミナーが開催されました。

本稿では、TIS株式会社 平井一徹氏によるセッション「サービス型で実現する運用管理のすすめ」をレポートします。

TIS社は日本で5社しかないAWSプレミアコンサルティングパートナーとして、さまざまな導入事例をもっています。本セッションでは、運用管理におけるサービス利用のポイントを解説するとともに、AWSを含むハイブリッドクラウド環境の運用管理マネージドサービス「MOTHER」も紹介します。

筆者:オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

ビジネスの目標によって、運用サービスを選ぶ時代

AWSなどのクラウド環境におけるシステム運用の基本的な考え方としては、「どうやって作るか、どのような構成か」という手段ではなく、「やりたいことに合わせて、どのようなサービスを作るか」という目的の設定が重要となります。

企業としての目的、目標を熟考することによって、ビジネスにおいて本当にやりたいことを実現できるようになります。このような考えに従って、運用管理に必要な機能をサービスとして利用することを、TIS社では「サービス型での運用管理」と呼んでいます。

サービス型での運用管理のすすめ

「サービス型での運用管理」のメリット

「サービス型での運用管理」は、次のようなメリットにつながります。

●初期コスト削減

たとえば障害監視の機能をサービスとして導入すれば、監視システムを自前で一から構築する必要がありません。初期設定をすれば必要な機能をすぐに使うことができるからです。 監視対象が増えても自前で構築したシステムを変更することなく、サービスの設定を変更するだけですぐに新しいサーバーなどの監視対象に対する監視を始めることができます。

●ビジネスのスピードアップ

監視システムの本来の目的は、監視システム自体の構築や運用ではなく、自社のビジネスの安定運用です。自社のビジネス以外の監視マネージャーの構築や管理・運用はサービスに任せ、本来のビジネスに集中することができます。

「サービス型での運用管理」のデメリット

一方、「サービス型での運用管理」には、デメリットもあります。それは、サービス仕様による制約です。これを解決するためにはサービスだけでなく、既存システムやオンプレミスのシステムなど、それぞれのシステムの特色を柔軟に組み合わせる工夫が求められます。

そのためには、事前にサービスの仕様や機能の把握することが重要です。たとえば、1秒間隔で監視したいのに、サービスの仕様では30秒毎の監視しかできないのであれば、そのサービスは使えないことになります。そのような判断をするために、事前にサービスの機能を把握しておくことが求められます。

利用ケースその1:障害監視

「サービス型による運用管理」の利用ケースをご紹介します。

ケースその1は、障害監視の事例です。この事例では監視環境を自社で保有しているため、柔軟な監視を実現しています。ただし自社で自動化を進めていっても、属人的な判断や障害対応が発生することもあるため、休日や夜間の時間帯には人的負荷が高くなっています。

利用ケース1_障害監視

このような課題は、外部障害監視サービスと連携することで解決できます。自社の監視環境を活かしつつ外部障害監視サービスとデータを連携させることで、障害の切り分けや対応の自動化を図り、人的負荷を引き下げます。つまり、既存運用とクラウド運用の組み合わせによって足りない部分を拡充していく考え方です。

利用ケースその2:性能分析

ケースその2は、性能分析についての事例です。性能情報の取得はできているものの、分析や改善策にまで手が回らないといった場合は、性能分析の部分を外部サービスと連携させます。

利用ケース2_性能分析

外部性能分析サービスと連携することによって、これまでエクセルの表しかなかったものをグラフィカルに可視化したり、分析レポートの形式にしたりすることによって、ビジネスを進めるために必要な情報を迅速に入手できるようになります。

このように自社の既存システムとクラウドサービスを組み合わせることによって、本来、企業が行うべきビジネスを支援することが可能となります。

クラウド環境導入によって起こる課題

AWSなどのクラウド環境は、たしかにビジネスに有効ですが、これまで社内で構築してきたオンプレミスのシステムのすべてを置き換えることは現実的ではありません。

クラウド環境の導入の過程では、複数のクラウドが勝手に使われてガバナンスが効かないことや、クラウド環境ごとにサービスレベルも使い勝手も異なるので運用管理が煩雑になる可能性が高いからです。

TIS社ではこのような課題を解決するために「マルチプラットフォーム対応マネージドサービス」を提供しているとのことです。このサービスでは全社のクラウド利用状況を把握できるため、コストの安いクラウドを使うことで投資抑制をしたり、複数のクラウドを使ったりすることでリスクヘッジも可能になるそうです。

さらに、一元管理を行うことで運用管理の負荷が軽減でき、複数クラウドを利用したシステム構成も組みやすくなるとのことでした。

既存運用+クラウド運用の実現

マルチプラットフォーム統合管理サービス「MOTHER」

また、TIS社では「MOTHER」というマルチプラットフォーム統合管理サービスを提供しています。オンプレミスとクラウドを統合管理できるこのサービスには、次のような特長があるとのことです。

  • 分かりやすいGUIでシンプルかつ利便性の高いポータル機能。
  • クラウドサービスにもオンプレミス同レベルの安定性・安全性のある運用サービスを提供。
  • AWSの複数アカウントはもちろん、複数プラットフォームの運用状況の統合管理が可能。

「MOTHER」マルチプラットフォーム統合管理サービス

ご参考

本コラムの元になっているセミナーの講演資料は、マジセミからダウンロードできます。ぜひご参考ください。

第一回目「オンプレとAWSを組み合わせた運用管理の勘所」


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著者プロフィール

オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス 「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。

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