オープンソース活用研究所 | 第一回目「オンプレとAWSを組み合わせた運用管理の勘所」

第一回目「オンプレとAWSを組み合わせた運用管理の勘所」

オープンソース活用研究所

2017年01月24日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

「高機能で安全」なことから、大手企業でも導入が進むAWS (Amazon Web Services)。とはいえ実際には、AWSと従来の自社データセンター(オンプレミス)を併存させるいわゆるハイブリッド環境もよくみられ、このようなハイブリッド環境において押さえておきたいいくつかのポイントがあります。

2016年9月15日に都内で、このようなポイントについて解説する「今時の企業情報システム運用、知らないと損をするオンプレミスとAWSのつきあい方 ~ 情報システム部門の方々に贈るTISからのメッセージ ~」セミナーが開催されました。

本稿では、TIS株式会社 倉持健史氏によるセッション「オンプレとAWSを組み合わせた運用管理の勘所」と、同社 池田大輔氏によるセッション「クラウドの進化にあわせた運用管理効率化~クラウド-オンプレミス ハイブリッド環境との向き合い方~」をレポートします。

TIS社は日本で5社しかないAWSプレミアコンサルティングパートナーとして、多くの導入事例を誇ります。AWSを中心に、現在、企業に求められている運用管理について、より実践的なアプローチを紹介します。

筆者:オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

TIS社は、AWSプレミアコンサルティングパートナー

AWSプレミアコンサルティングパートナーに認定

セミナー冒頭、TIS株式会社とAWSの関係について解説がなされました。

トータルSIerとしてデジタル経営を様々な角度から支援してきた同社は、日本で5社しかない「AWSプレミアコンサルティングパートナー」でもあります。

社内にいるAWS認定資格取得者は130人、導入企業はすでに100社を数えています。さらに同社の組織力をフル活用することで、開発から運用までをワンストップでサポートできる点も特長です。開発は「クラウドインテグレーションサービス」、運用は「クラウドマネージドサービス MOTHER」として提供しています。

「柔軟で安価で安定」したハイブリッドクラウドを実現するための4つのポイント

現在、ビジネスに求められているシステム運用管理とは、どのようなものでしょうか?

TIS社によると、次の2点に集約されるそうです。

  • ビジネスの変化に合わせた柔軟なシステム運用
  • 余分なコストを排除した安価で安定したシステム運用

ハイブリッドクラウドによる「柔軟で安価で安定」した運用を実現するために、TIS社では4つのポイントがあると指摘しています。

有効なシステム運用実現のために

1.ビジネスの変化に対応できるクラウドサービスである

市場の激しい変化への追随や新規ビジネスの素早いリリースのためには、運用管理についても素早い対応が必要となります。そのためには既存資産の有効活用よりもクラウドサービスを効果的に活用することが有効です。

2.オープンで標準的なプラットフォームである

クラウドサービスにおいては、特定ベンダーに依存しない、いわゆるベンダーロックインされない仕組みづくりが重要です。システム運用のライフサイクルは、数年、場合によっては数十年という長いスパンで捉える必要があり、特定ベンダーの独自技術に依存した運用管理では、市場や経営方針などのビジネス環境に変化があった場合、他システムへの乗り換えが困難になるからです。

環境に依存しない仕組みとは、再現性のある運用手段であり、具体的にはオープンで標準なプラットフォームになります。

3.オンプレミスとクラウドが統合管理できる

ビジネス環境の素早い変化についていくためにはクラウドサービス部分だけ、オンプレミス部分だけ別々に運用管理していたのでは、ビジネス全体の変化に対応することはできません。 そのためシステム全体の統合管理が必要になります。

4.ルーチンワークが自動化できる

せっかくシステムを導入するのですから、ルーチンワークについては、極力、自動化・標準化したいところです。

ルーチンワークの自動化には運用作業をプログラム化(コード化)することが必要となります。たとえば、時間やイベント発生など作業の開始条件が明確なものや、APIベースでの処理、リモートからのコマンド実行が可能なものであれば、運用作業をブログラム化し自動化することが可能となります。

「柔軟で安価で安定」した運用を実現するOSS統合監視ソフトZabbix

先にもご紹介したとおり、ベンダーロックインされない仕組みを実現するために、オープンソースの活用は重要なポイントになります。

「柔軟で安価で安定」した運用管理を実現するための要件を満たすオープンソースの統合監視ソフトウェアに、Zabbix(ザビックス)があります。Zabbixは同類ソフトと比較しても監視項目が豊富で、幅広いOSに対応しています。大規模環境の監視はもちろん、分散環境での統合監視にも適したアーキテクチャで作られています。

いちばんのポイントは、AWSをはじめ、他の外部ツールと連携する仕組みを持っている点です。また監視対象機器の自動登録・自動監視やZabbix APIを用いた設定操作全般の自動化などの機能で幅広い自動化もカバーしています。基本はサーバー/エージェント型ですが、エージェントレス監視も可能です。

AWSとZabbix連携による監視テンプレート

TIS社では、このようなZabbixの特長を活かし、通常のOSレイヤより上の監視統合に加え、AWSの様々なサービスの監視を統合する監視テンプレートを開発しています。また、誰でも使えるようにオープンソースとして公開しています。

AWS監視テンプレートを用いた運用実現イメージ

Zabbixは優秀な統合監視ソフトウェアですが、一方、商用製品に慣れている企業からはオープンソースの導入に不安を感じる声も少なくありません。TIS社では、オープンソースに対する不安を払拭し、導入支援を行う「OSSサポートサービス」も合わせて提供しています。

「OSSサポートサービス」では、Zabbixをはじめとしたオープンソースの効果的な活用に向けた技術コンサルティングを行います。複数のオープンソースをひとつの窓口で総合的に支援するサポートサービスとして、好評を得ているそうです。

さらに、先にご紹介したAWS監視テンプレートについても、テンプレートのサポートやお客様の監視要件に合わせたテンプレートの拡張開発も行っているとのことでした。

OSSサポートサービス

自動化をエンジンとして、品質と生産性の向上を目指す

最後に、冒頭の挨拶でTIS株式会社 溝口則行氏のお話しを紹介します。

TIS社では、クラウド時代において変化する情報システムのアーキテクチャに対して、ユーザー企業、ベンダー、システムインテグレター等の相互の共通認識を形成するべく、「IT基盤技術参照モデル」を策定中とのことです。またこのモデルに従って、具体的にどのようなプロダクト/ソフトウェアを活用するべきかを推奨する「推奨構成パターン」も合わせて策定中とのこと。

さらにこのような取り組みの中で、運用自動化を推進し、品質と生産性の向上を目指す、とのお話しでした。今後の活動に期待したいと思います。

自動化をエンジンとして、品質と生産性の向上を目指す

ご参考

本コラムの元になっているセミナーの講演資料は、マジセミからダウンロードできます。ぜひご参考ください。


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著者プロフィール

オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス 「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。

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