2016年11月22日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一
2016年9月15日、GMOグローバルサイン株式会社主催によるセミナー「費用をかけずに、Office365などクラウドサービスの「パスワード使い回し」を回避する方法 ~Office365やDropBoxなどの認証連携をその場で実施~」が開催されました。
不正アクセス事件が多発しID、パスワード管理の問題が深刻化するなか、GMOグローバルサイン株式会社SKUID事業部 ビジネスデベロップメント赤坂佳威氏による講演「IDアクセス管理クラウド「SKUID」でクラウド利用時のセキュリティを強化」のダイジェストを、3回に渡ってご紹介します。
第三回目は、「リスト攻撃や標的型攻撃のリスクから守る、無料のID管理ツールSKUIDとは?」と題して、無料で使えるID管理ツールSKUIDをご紹介します。
第一回、二回とID・パスワード流出の実際と手口についてご紹介しました。
最終回の今回は、どのようにID・パスワードの管理・運用をしていけばよいのかというポイントについてご紹介します。
パスワード管理をする上で重要なのは、次の4点です。
現在、パスワードをブラウザなどに保存している方も多いようですが、セキュリティの観点からみるとブラウザから流出するケースも多く報告されており、この管理方法は非常に危険とされています。
それでは、強固なパスワードとは、いったい何桁ぐらいのパスワードを指すのでしょうか?
パスワードの設定する際には、「●文字以上」、「大文字小文字を混ぜる」などの指定がある場合も少なくありません。これが強固なパスワードを作る上で必要な要素なのです。
たとえば上記の表は、パスワードの最大解読時間を表したものです。左側に文字の種類、右上に桁数があり、それらの違いによりパスワードの最大解読時間がどれだけ変化するかを表しています。
最も顕著な違いが見られるのは、赤枠の部分です。入力桁数が6桁であれば最大解読時間は54日ですが、2桁追加して8桁にすれば1000年になります。1000年もあれば、まず解読される心配はないでしょう。
もし皆さんが簡単なパスワードを設定している場合には、是非これを参考に文字・数字・記号などを使った、桁数の多いパスワードを設定することをお勧めします。
さて、不正アクセスからID・パスワードを合理的に守るために、もっとも現実的な手段としてID管理ツールがあります。
今回ご紹介するのは、SKUID(IDaaS)というサービスです。「SKUID」はSSL国内シェアナンバーワンのGMOグローバルサインが提供するIDaaSサービスであり、認証局ならではの安全対策で、堅牢にパスワードを保護します。
IDaaS(IDentity as a Service)とは、オンプレミスとクラウドというハイブリッド環境下での業務システムの利用が広がりつつある現在、ID管理や認証の仕組みをオンプレミス側に作るのではなく、クラウド型として提供するサービスです。
SKUIDは、直感的なUIで、「ID管理」「シングルサインオン」「アクセスコントロール」を無料で提供します。
SKUIDの主な機能は上記の通りです。もっとも特徴的なのがシングルサインオンです。
シングルサインオンとは、1回のユーザ認証で設定された範囲のすべてのサービスにアクセス可能にする機能であり、ユーザは、ひとつのユーザIDとパスワードを入力するだけで複数のシステムを横断して利用できるようになります。
シングルサインオンは、パスワードを管理する手間や使い回しすることで高まる不正ログインの危険性を回避し、同時にログインの入り口をシングルにすることで高いセキュリティ効果を発揮します。
その他ID管理機能、アクセスコントロール機能(IPアドレスでアクセス制限するなど)、ログ/レポート機能(会社として可視化できるログ機能)も備わっています。
SKUIDの最大の特徴は、何といっても無料で利用可能なところです。
シングルサインオンを行うアカウント数も、SaaS登録数も無制限でありながら、初期設定費用0円、月額費用0円で利用できます。
一定の試用期間後に有償化するといったようなバックエンド販売もありません。
ただし、シングルサインオン以外の部分で更にセキュリティを強化したい場合や、IPアドレスのアクセス制限を行う場合、またワンタイムパスワードを利用したいという場合は、有償での提供となります。
SKUIDで接続可能なアプリ一覧は、次のURLをご参照ください。
https://sku.id/service/index_list.html
ご覧いただけばわかるとおり、主だったWEBサービスでの利用が可能です。
Office365、AWS、サイボーズ、セールスフォースなど、ビジネス向けWebサービスで安心してご活用いただくことができます。
今回ご紹介したID・パスワード管理ツール「SKUID」の情報は下記のサイトにてご覧いただけます。現在β版登録を受付中です。登録も利用も無料ですので是非お試しください。
SKUIDのサービスサイト
第二回目 「犯人はどのような手口でリスト攻撃を行うのか?」
第三回目 「リスト攻撃や標的型攻撃のリスクから守る、無料のID管理ツールSKUIDとは?」
1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。
2022年11月11日(金)16:00~17:00 『今、知っておくべきサイバー攻撃の実態 ~一番危険なセキュリティリスクは何なのか?~』 と題したウェビナーが開催されました。 皆様のご参加、誠にありがとうございました。 当日の資料とサマリー動画を以下から無料でご覧いただけます。 ご興味のある企業さま、ぜひご覧ください。
「OSV-Scanner」(OSVスキャナー)とは、Google製「脆弱性スキャナー」です。「プロジェクト依存関係リスト」と「既知脆弱性」を照合するための「OSVデータベースへのフロントエンド」を提供します。パッケージリストに対して詳細チェックを実施することで、パッチ適用の必要性情報を得られます。
FreeRADIUS(フリーラディウス)とは、オープンソースの高機能RADIUSサーバです。「RADIUS」はネットワーク上で「利用者認証」「権限付与」「利用状況記録」などを実施するための認証プロトコルであり、デファクトスタンダードとして広く使用されています。
Google Authenticator(グーグルオーセンティケーター)とは、Googleが開発している2段階認証(2要素認証)用トークンソフトウェアです。「SMSテキストメッセージ」「音声通話」「モバイルアプリ」などを使用して認証コードを送信/生成します。Googleサービスのみではなく、他社サービスの認証にも利用できます。
Vuls(バルス)とは脆弱性スキャンツールです。脆弱性データベースから脆弱性情報を取得して、「Linux(FreeBSD)系OS」「各種ミドルウェア」「各種フレームワーク」などに対する脆弱性存在を検査し、詳細情報をレポーティングします。サーバにインストールされているソフトウェアに対する脆弱性存在チェックに利用できます。
WireGuard(ワイヤーガード)とは、VPN(Virtual Private Network)ソリューションです。「Linuxカーネルツリーにマージ」「シンプル」「使いやすい」「数行のコードで簡単に実装」「ハイパフォーマンス」「学術研究をベースとして実装されている高いセキュリティ」などを特徴としています。
OpenLDAP(オープンエルダップ)とは、ディレクトリサービスを提供するオープンソースLDAPサーバです。サーバ間やシステム間で認証連携を行い、ユーザー情報データベースを統合管理することで、シングルサインオンを実現するための共通基盤となります。ディレクトリ情報の一元管理により、運用管理の作業負荷を大幅に削減し、セキュリティを強化できます。
OpenVAS(オープンバス)とは、セキュリティチェック用脆弱性スキャンツールです。包括的で強力な脆弱性スキャンを行うことで脆弱性管理をサポートします。対象ホストのOSやソフトウェアに既知の脆弱性が含まれているかどうかについて自動でチェックを行い、詳細レポートを作成します。
Metasploit Framework(メタスプロイトフレームワーク)とは、セキュリティ脆弱性テストフレームワークです。コンピュータセキュリティに関するオープンソースプロジェクトで、「情報収集」「脆弱性検出」「ペネトレーションテスト」などを主な守備範囲としています。
ClamAV(クラムエーブイ)とはアンチウイルスエンジンです。さまざまな「ウイルス」「マルウェア」「悪意のある脅威」などを検出します。「ファイルスキャン」「電子メールスキャン」「Webスキャン」などエンドポイントセキュリティを含むさまざまな状況で利用できます。
Snort(スノート)はネットワーク型IDS(不正侵入検知システム)です。ネットワーク上を流れるパケットを解析して、不正パターンに合致するパケットを検知したら警告を発します。「パケットスニファ」や「パケットロガー」としても利用でき、豊富なアウトプットプラグインによる機能拡張が可能です。
OpenAM(オープンエーエム)とは、オープンソースの認証ソリューションです。「認証」「アクセス認可」「フェデレーション」などの高機能を備え、シングルサインオン機能を提供します。商用製品と同等の機能が実装されており、「アクセス制御の統合/強化」「セキュリティ対策」「個人情報漏洩防止強化」などのメリットがあります。
Keycloak(キークローク)とは、WebアプリケーションおよびRESTfulWebサービス用のシングルサインオン機能を提供するアクセス管理ソリューションです。「シングルサインオン認証フレームワーク」+「管理コンソール」でシングルサインオン環境を構築するための一通りの機能を提供します。
Shibboleth(シボレス)とは、シングルサインオン機能を提供するソリューションです。連合アイデンティティソリューションとして世界で広く展開されており、ユーザーを組織内外の両方のアプリケーションに接続します。
OpenVPN(オープンブイピーエヌ)とは、オープンソースのVPN(Virtual Private Network)構築ソフトウェアです。「堅牢なセキュリティと安定性」が特徴です。
WSO2 Identity Server(ダブルエスオーツー アイデンティティ サーバ)とは、シングルサインオンソリューションです。アプリケーション/API/クラウド/モバイル間で統合ID管理を行います。
LibreSSL(リブレ エスエスエル)とは、SSL/TLSプロトコルのオープンソース実装(通信用ソフトウェア)で、「OpenSSL」の派生改良版です。圧倒的シェアを持つが問題が多い「OpenSSL」を代替できるものとして期待されています。
OpenSSH(オープンエスエスエイチ)。ネットワーク経由通信を暗号化する「SSH」のオープンソース実装です。おもにUNIX/Linuxサーバに対するネットワーク経由でのリモートログインに使用します。
OpenSSL(オープンエスエスエル)。オープンソースSSL/TLS暗号化ライブラリです。世界中のWebサイトで圧倒的シェアを持っており、事実上の業界標準となっています。
Apache DS(アパッチディーエス)。オープンソースのLDAP(ディレクトリ)サーバです。「Apache Directory」プロジェクトで開発されています。
389 Directory Server(389ディレクトリサーバ)。オープンソースディレクトリサーバです。「Fedora Directory Server」の後継で、商用製品の流れを受けており、ユーザフレンドリーなGUIツールの充実などが特徴です。
OpenIDM(オープンアイディーエム)。高い柔軟性と拡張性を備え、エンタープライズ/クラウド/モバイル/ソーシャル/レガシーなど多様な環境において、ユーザアカウントのプロビジョニングとライフサイクルの一元管理を実現するID管理製品です。
OpenDJ(オープンディージェー)。OpenAMに内蔵されており、先進的なレプリケーションアーキテクチャや「REST API」を搭載したLDAP準拠の高機能オープンソースディレクトリサーバです。
OSS×Cloud ACCESS RANKING