オープンソース活用研究所 | オープンソースライセンス管理ソリューションのご提案(前編)

オープンソースライセンス管理ソリューションのご提案(前編)

オープンソース活用研究所

2016年06月13日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

2016年2月23日に株式会社オージス総研東京本社にて「OSSライセンスをめぐる国内外の係争事例 ~OSSを適正利用するために~」というセミナーが開催されました。本セミナーの第一部では「OSSライセンスをめぐる国内外の係争事例」という演題で弁護士の片山史英先生にご講演いただき、第二部では「オープンソースライセンス管理ソリューションのご提案」の演題で株式会社オージス総研 サービス事業本部 グローバルプロダクト部リーダーの吉井雅人様にお話いただきました。

今回は、吉井氏による講演の内容を筆者がご紹介します。

オープンソースソフトウェア(以下、OSS)にもライセンスがある

講演の冒頭でOSSの定義が改めて確認されました。OSSとはソースコードがオープンなソフトウェア、公開されているソフトウェアで、その多くは無償です。誰でも自由に利用できますが、商用ソフトウェアと同じようにライセンスがあり、そのライセンスをしっかりと守る必要があります。

OSSライセンスへの乏しい知識と認識

続いてGitHubへ話が進みます。GitHub は近年、ソフトウェア開発者の間で急激に人気が上がってきたリポジトリ(保管庫)サイトで、現在 GitHub には2,000万を超えるOSSが存在しているそうです。

講師によると、2,000万を超えるOSSがあるものの、日本では比較的緩いライセンス、例えばApacheやBSDといったライセンスが適用されているOSSが多く利用されているそうです。また一般的にOSSの構成やライセンスについての知識が乏しいとのこと。そのため、自社のソフトウェアでどのOSSが利用されているのか正確に把握しているケースが少ないようです。例えばあるケースでは49種類のOSSを利用している、という自己申告に対し、実際に検査を行ったところ91種類も出てきたそうです。利用を把握しているOSSよりも、実際に利用しているOSSのほうが多い傾向にあることから、講師はこれを「氷山の一角」という言葉で言い表しています。

なぜ「氷山の一角」になってしまうのか?

ではなぜ「氷山の一角」になってしまうのでしょうか?講師はOSSの利用形態を4つに分類した上で「氷山の一角」を解説しています。OSSの利用形態としてまず挙げられるのは、ライブラリとしての利用やソースコードの流用です。この場合はOSSだと意識して利用しているので、このケースでは問題になりにくいそうです。問題となる、つまり氷山に例えると海面下に隠れてしまいがちなのが次の3つの利用形態です。1つ目はGoogleで関数名と言語を入れて検索し、結果をコピーペーストするケースです。2つ目はQAサイトやブログからコピーペーストするケースです。このようなケースの場合はOSSだと意識せずに利用している場合が多くなるため、把握も難しくなります。

3つ目はOSS内OSSの存在です。OSSは既存のOSSをいくつか組み合わせて作成されることが多く、あるOSS内に別のOSSが存在し、別のOSS内にはさらに別のOSSが存在し、、、となり、階層が深くなるにつれ利用状況の把握が難しくなっていく、とのことです。

利用条件を守らないと訴訟も

利用条件を守らなかった場合のリスクについて、講師は2009年に起きたBusyBox訴訟を取り上げ、実際に訴訟を起こされる可能性を説明されました。OSSライセンスにまつわる訴訟事例はそれまで米国とヨーロッパの企業がターゲットになることが多かったのですが、BusyBox訴訟では韓国や日本の企業もターゲットになり、日本のエレクトロニクス業界にも非常にインパクトを与えた訴訟となったそうです。

OSSの脆弱性も問題に

また最近はOSSの脆弱性も問題になっています。講師はここで OpenSSLのHeartbleedの問題を取り上げ、OSSの脆弱性の問題を具体的に説明されています。また、バージョンによって脆弱性の問題も変わる実態を実例とともに示されました。コンポーネント、バージョン、ライセンス、脆弱性を押さえておくことがOSSを安全かつ適正に利用するために必要だとのことです。

OSS利用時の救世主Palamida(パラミーダ)

ここで講師はPalamidaの説明に移ります。Palamidaはサンフランシスコの企業が開発しているツールで、ソフトウェアをスキャンし、そのソフトウェアに含まれるOSSを検出することが可能です。

Palamidaは多角的な検知ロジックを有しており、ソースコードの部分一致やファイルのハッシュ値の一致で検索したり、メールアドレス・URL・Copyrightなどの情報を検出することもできます。関数のコピーペーストなどは比較的簡単にわかるそうです。日本の開発者はコピーペーストする時に参照したというコメントをよく残すことがあるそうで、そのようなコメントの検索もできます。

またOSSは種類が多いので、ソースコードの一部分が色々なOSSにヒットするということがよくあります。どれがオリジナルかわからないという場合にPalamidaはそれを数値化します。カバー率や、ソースコードをコピーペーストした箇所がどのくらいかたまっているか、またソースコードの独自性などの指標に照らし、OSSの利用元の「確からさ」を示してくれるそうです。

PalamidaにはOSSのコンポーネント、バージョン、ライセンスを自動的に特定するAuto-WriteUpという便利な機能もあります。ファイルのハッシュ値とかファイルの中の文字列、あるいはコピーライト、著作者、バージョン情報とかを見ます。ファイルの一部のバイナリでおおよそどのオープンソースかがわかるそうです。

次回は引き続きPalamidaについてと、株式会社オージス総研が提供しているサービスについて話を進めて行きます。

本セミナーの資料

本セミナーの資料は以下のURLからダウンロードすることができます。
https://majisemi.com/e/c/ogisP-20160223

※上記URLをクリックしていただくと、まず第一部の「OSSライセンスをめぐる国内外の係争事例」の講演資料が表示されますが、講演資料を請求していただきますと、第二部の「オープンソースライセンス管理ソリューションのご提案」の講演資料も含めてメール送付されます。

どうぞご参考ください。


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著者プロフィール

オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス 「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。

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