2016年05月16日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一
このたび米国Liferay, Inc.グローバルサポートの責任者Craig Kaneko氏が来日、LIFERAYのサポートやサポートを支える価値観や誕生秘話などについてお話をお聞きしました。
質問者:
株式会社オープンソース活用研究所 寺田雄一
回答者:
Craig Kaneko - Director, Global Subscription Services
Ivan Cheung – Senior Manager, Global Subscription Services
Q. まず、お二方の Liferay, Inc.(以後、Liferay)におけるキャリアについて教えて下さい。
A. 二人ともLiferayには10年前に入社しました。Liferayはスタートアップ企業でしたから入社当初より様々な仕事を掛け持ちしており、中でも大きなウェイトを占めていた仕事がサポートでした。実は、サポート以外にも色々担当していて、時にはオフィスの仲間のために食事を買いに行ったりもしていました(笑)。Liferay全体がサービス方面へシフトするのに合わせ私たちの仕事はサポートが中心になり、主にサポートのための組織づくりにフォーカスしました。
写真右:Craig Kaneko - Director, Global Subscription Services
写真左:Ivan Cheung – Senior Manager, Global Subscription Services
Q. Liferayはたしか2004年に設立されたのでしたね。
A. そうです。私たちが入社した時には既に社員は30人くらいになっていました。
Q. 会社設立からわずか1年ほどで30人規模になったのですか?
A. そうです。スタートアップ企業には珍しくないかもしれませんが、会社は年々倍々ゲームで成長し、社員も文字通り倍々に増えていきました。
Q. ところでLiferayのグローバルサポートの拠点はどこにあるのですか?
A. 現在Liferayは全世界に18のオフィスがあり、サポートはグローバルサポートとローカルサポートの2つに分かれます。グローバルサポートは、グローバルのサポートおよびコーディネーションを行います。このグループはロサンゼルス、中国、ハンガリーを拠点とし、24時間英語で対応しています。さらに、担当地域内のサポートも行っています。2つ目のローカルサポートは、日本、スペイン、ブラジル、インド、シカゴに拠点があります。
Q. 各拠点同士はどのようにつながっているのでしょうか?
A. 基本的にすべての拠点間で常にコミュニケーションをとって、顧客からの問題報告やその解決方法を共有しています。拠点それぞれが独立しているのではなく、8拠点で一つとして機能しています。また、サブジェクト・マター・エキスパート(SME)と呼ばれる各分野のエキスパートも情報ネットワークに参加しており、例えばブラジルにいるSMEに日本から照会して、問題に対応できる仕組みです。
Q. サポートに従事しているメンバーは何人いますか?
A. グローバルとローカルサポートの両方を合わせて、約150人です。
Q. 一般的にソフトウェアのグローバルサポートは階層型の構造、いわゆるエスカレーションの構造を採るケースが多いです。つまり、問題や課題を下位のチームが上位のチームに照会する仕組みです。Liferayのように、各分野のエキスパートが水平的にネットワークしているというのは珍しいのではないですか?
A. LIFERAYのサポートが現在のやり方を行っているのには二つの背景があります。まず、LIFERAYのサポートは、もともと世界中のユーザーの支援により形作られてきました。私が寝ている間も、例えば中国のユーザーが引き続き問題解決にあたってくれたりしました(笑)。それでこのやり方を拡大すると、非常に効率的で効果的だと考えたのです。シームレスに24時間対応することで、スピーディーなサポートが提供できると考えています。
また、LIFERAYのサポートはとても機能的に運用されています。一つの拠点で得られた解決手段を世界中の全拠点で共有しているので、例えば日本で得られた知見が、直後にブラジルのお客様の問題を解決したりします。ローカル、グローバルのいずれにも内部にエスカレーションパスがあります。ローカルのサポートで解決できない場合には、グローバルにエスカレーションするようになっています。Liferayのサポートにエスカレーションパスがないわけではないのです。
Q. 日本にサポート拠点ができたのはいつですか?
A. 2014年の秋です。
Q. 日本にサポート拠点を置いた理由は何ですか?
A. 専門的知識を持った私たちのチームが直接日本の市場に参入することで、よりお客様を理解しお客様の成功のために貢献することが可能だと考えたからです。日本でのローカルサポートを立ち上げる以前は、我々のパートナーや中国のグローバルサポートグループが担当していました。しかしお客様のフィードバックをもとに、より良いサポートサービスを提供したいと思い、日本市場への投資を決断したのです。
Q. 言語の問題もあると思いますが、例えば日本の文化や固有のニーズに合わせてサービス内容を変えたりしているのですか?
A. はい、ドキュメントは横書きではなくて縦書きで提供しています(笑)。冗談はさておき、ローカルに固有なニーズに対しては個別に対応しています。
Q. 日本のユーザーのニーズに対応するため、グローバルな対応ではなく、日本市場で個別の対応をされた事例を教えていただけますか?
A. 一般的なケースですが、ドキュメント作成の事例があります。ある日本のお客様から日本語でドキュメントを提供してほしいと依頼されました。私たちは、既に日本語を含めたドキュメント作成をアメリカあるいは中国で行なうという体制を持っていましたが、話し合った結果、日本語を話し、顧客と現地で実際にコミュニケーションできる日本の担当者に依頼する方がよいという結論にいたりました。
Q. 日本語を正しく理解し、お客様と正しくコミュニケーションできないと、日本語で正しくドキュメント化するのは難しいですよね。
A. そうです。また、以前のサポートプロセスにも、改善の余地はありました。特に海外オフィスから日本の現場におけるニーズを正しく汲み取ることは、とても難しいことです。それが別言語であった場合、より困難になります。
さらに、検索の仕方一つをとっても日本には特有のやり方があります。日本の市場に合った細かいケアが求められてもいました。
別の事例ですが、Q&Aのケースがあります。LiferayにはQ&Aに利用できる古くからある機能がありますが、ある日本のお客様がそれを詳細に使い始めたところバグが見つかりました。それまでに全世界の多くのお客様たちが使っていたにも関わらず、誰もそのバグに気づきませんでした。言うなれば日本のお客様の要求水準が相当高いということです。そうした高い要求水準に対応するには、日本にサポートオフィスを置くのが最適だったわけです。
いずれにせよ、現地で現地の言葉を使ってお客様とコミュニケーションしなければ、問題の正しい理解や、状況の正確な把握は困難です。
Q. ありがとうございました。
次回はLIFERAYのホットフィックスや、同社のサポートを支える価値観について聞いていきます。
1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。
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Canvas LMS(キャンバスLMS)とは、オープンソース学習管理システム(LMS:Learning Management System)です。学習教材配信管理や成績管理など、学習に必要な各種要素を統合して管理できます。世界中の多くの学校で採用されています。
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Odoo(オドゥー)とは、オープンソースのWebベースビジネスアプリケーションスイートです。必要となるさまざまなアプリを組み合わせてカスタマイズすることで、ビジネスにフィットするアプリケーションスイートにすることができます。世界中で3700万人を超えるユーザーによって利用されています。
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Magento(マジェント)とは、世界トップクラスのオープンソースeコマース(電子商取引)プラットフォームです。「多言語対応」「多通貨対応」が可能な越境ECサイトを構築できます。Magentoには、越境ECサイトを構築し、ネットショップを運営するために必要十分な機能が一通り搭載されています。
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