2016年05月13日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一
2016年2月19日、株式会社アクシオによる『主要シングルサインオン製品 徹底比較』セミナーが開催されました。
株式会社アクシオは、シングルサインオンなどの統合認証基盤システム分野を15年間取り扱っており、100社超の導入実績を保有しています。本セミナーでは、実際に構築を行った技術者の声を紹介するなど、5つのシングルサイオン製品の比較が行われました。
第1回目のレポートは、シングルサインオンの基礎についてご紹介します。
冒頭に企業のIDを取り巻く現状につき、キーマンズネットの2014年の資料を基にした説明がありました。理想的なのは一人のユーザーが1個のIDを使うことです。しかし、それを実現している企業は全体の3.4%に過ぎず、ほとんどの企業が2個以上、多いと11個ものIDが使いまわしされている状況です。
なぜユーザーはIDをなかなか集約しないのでしょうか。これはプロジェクトの状況が大きく関係しています。例えば、ID統合のプロジェクトにおいては、ADなどの全社的なプロジェクトの優先順位が高くなっていることがあります。利用頻度や利用人数が比較的少ないアプリケーションは後回しにされ、ID統合から取り残されてしまうという実態があります。
またコストの問題も背景にあります。構築プロジェクトが終わってしまうと、ID統合から残されたアプリケーションを認証基盤に統合していくことについて予算は付きません。2個3個のIDではそれほど不便ではないということもあります。また経営層にすれば「この間、多額の予算をかけて統合プロジェクトを行ったばかりではないか」などという話になります。この様にしていくつかのアプリケーションが残ってしまうという状況があります。
続いて、アクシオの取り扱い製品の推移についての説明がありました。2000年代の前半から後半にかけて当社が主に取り扱ってきたのはNovel Access Manager、RSA Access Managerの二つです。当社はもともとNovelのeDirectoryなどの販売を手掛けていて、eDirectoryとNovel Identity Managerとの組み合わせでNovel Access Managerを販売してきました。
2010年以降になると当社の主要取扱製品はOpenAM、IceWallにシフトしてきました。
続いて、シングルサイオンの二つの意味について解説がなされました。一つは、1つのIDとパスワードでログインするということ。もう一つは、一回ログインすれば色々な業務アプリケーションが使用できるということです。
ところで、SSO製品だけではその二つを満たすことは出来ず、IDMも一緒に導入してSSOを実現するのが実態とのことです。
続けて、シングルサインオンを実現する三つの基本構成について解説が行われました。「リバースプロキシ型」「エージェント型」「ハイブリッド型」です。
「リバースプロキシ型」はリバースプロキシというサーバがユーザーからのアクセスをいったん受け付け、バックエンドのWEBサーバに流す仕組みです。Apacheのリバースプロキシ機能を使ったり、独自のCGIで開発したリバースプロキシのモジュールを使っているケースがあります。また、リバースプロキシがバックエンドのWEBサーバの代理となってコンテンツをユーザーに返すので、リバースプロキシで色々な加工をすることも可能です。
以前はリバースプロキシにサーバの負荷が集中するとして嫌煙されることもあったそうですが、最近はサーバのスペックが上がってきて問題にならなくなっているようです。またログが集中管理出来ることもリバースプロキシのメリットだそうです。
「エージェント型」は、ユーザーが実際にアクセスしているWEBサーバの中にSSOのエージェントをインストールする構成です。フィルター的な形でユーザーとサーバ間の通信を監視しているという位置づけです。
次回は、実際の製品の比較をご紹介致します。
1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。
2022年11月11日(金)16:00~17:00 『今、知っておくべきサイバー攻撃の実態 ~一番危険なセキュリティリスクは何なのか?~』 と題したウェビナーが開催されました。 皆様のご参加、誠にありがとうございました。 当日の資料とサマリー動画を以下から無料でご覧いただけます。 ご興味のある企業さま、ぜひご覧ください。
「OSV-Scanner」(OSVスキャナー)とは、Google製「脆弱性スキャナー」です。「プロジェクト依存関係リスト」と「既知脆弱性」を照合するための「OSVデータベースへのフロントエンド」を提供します。パッケージリストに対して詳細チェックを実施することで、パッチ適用の必要性情報を得られます。
FreeRADIUS(フリーラディウス)とは、オープンソースの高機能RADIUSサーバです。「RADIUS」はネットワーク上で「利用者認証」「権限付与」「利用状況記録」などを実施するための認証プロトコルであり、デファクトスタンダードとして広く使用されています。
Google Authenticator(グーグルオーセンティケーター)とは、Googleが開発している2段階認証(2要素認証)用トークンソフトウェアです。「SMSテキストメッセージ」「音声通話」「モバイルアプリ」などを使用して認証コードを送信/生成します。Googleサービスのみではなく、他社サービスの認証にも利用できます。
Vuls(バルス)とは脆弱性スキャンツールです。脆弱性データベースから脆弱性情報を取得して、「Linux(FreeBSD)系OS」「各種ミドルウェア」「各種フレームワーク」などに対する脆弱性存在を検査し、詳細情報をレポーティングします。サーバにインストールされているソフトウェアに対する脆弱性存在チェックに利用できます。
WireGuard(ワイヤーガード)とは、VPN(Virtual Private Network)ソリューションです。「Linuxカーネルツリーにマージ」「シンプル」「使いやすい」「数行のコードで簡単に実装」「ハイパフォーマンス」「学術研究をベースとして実装されている高いセキュリティ」などを特徴としています。
OpenLDAP(オープンエルダップ)とは、ディレクトリサービスを提供するオープンソースLDAPサーバです。サーバ間やシステム間で認証連携を行い、ユーザー情報データベースを統合管理することで、シングルサインオンを実現するための共通基盤となります。ディレクトリ情報の一元管理により、運用管理の作業負荷を大幅に削減し、セキュリティを強化できます。
OpenVAS(オープンバス)とは、セキュリティチェック用脆弱性スキャンツールです。包括的で強力な脆弱性スキャンを行うことで脆弱性管理をサポートします。対象ホストのOSやソフトウェアに既知の脆弱性が含まれているかどうかについて自動でチェックを行い、詳細レポートを作成します。
Metasploit Framework(メタスプロイトフレームワーク)とは、セキュリティ脆弱性テストフレームワークです。コンピュータセキュリティに関するオープンソースプロジェクトで、「情報収集」「脆弱性検出」「ペネトレーションテスト」などを主な守備範囲としています。
ClamAV(クラムエーブイ)とはアンチウイルスエンジンです。さまざまな「ウイルス」「マルウェア」「悪意のある脅威」などを検出します。「ファイルスキャン」「電子メールスキャン」「Webスキャン」などエンドポイントセキュリティを含むさまざまな状況で利用できます。
Snort(スノート)はネットワーク型IDS(不正侵入検知システム)です。ネットワーク上を流れるパケットを解析して、不正パターンに合致するパケットを検知したら警告を発します。「パケットスニファ」や「パケットロガー」としても利用でき、豊富なアウトプットプラグインによる機能拡張が可能です。
OpenAM(オープンエーエム)とは、オープンソースの認証ソリューションです。「認証」「アクセス認可」「フェデレーション」などの高機能を備え、シングルサインオン機能を提供します。商用製品と同等の機能が実装されており、「アクセス制御の統合/強化」「セキュリティ対策」「個人情報漏洩防止強化」などのメリットがあります。
Keycloak(キークローク)とは、WebアプリケーションおよびRESTfulWebサービス用のシングルサインオン機能を提供するアクセス管理ソリューションです。「シングルサインオン認証フレームワーク」+「管理コンソール」でシングルサインオン環境を構築するための一通りの機能を提供します。
Shibboleth(シボレス)とは、シングルサインオン機能を提供するソリューションです。連合アイデンティティソリューションとして世界で広く展開されており、ユーザーを組織内外の両方のアプリケーションに接続します。
OpenVPN(オープンブイピーエヌ)とは、オープンソースのVPN(Virtual Private Network)構築ソフトウェアです。「堅牢なセキュリティと安定性」が特徴です。
WSO2 Identity Server(ダブルエスオーツー アイデンティティ サーバ)とは、シングルサインオンソリューションです。アプリケーション/API/クラウド/モバイル間で統合ID管理を行います。
LibreSSL(リブレ エスエスエル)とは、SSL/TLSプロトコルのオープンソース実装(通信用ソフトウェア)で、「OpenSSL」の派生改良版です。圧倒的シェアを持つが問題が多い「OpenSSL」を代替できるものとして期待されています。
OpenSSH(オープンエスエスエイチ)。ネットワーク経由通信を暗号化する「SSH」のオープンソース実装です。おもにUNIX/Linuxサーバに対するネットワーク経由でのリモートログインに使用します。
OpenSSL(オープンエスエスエル)。オープンソースSSL/TLS暗号化ライブラリです。世界中のWebサイトで圧倒的シェアを持っており、事実上の業界標準となっています。
Apache DS(アパッチディーエス)。オープンソースのLDAP(ディレクトリ)サーバです。「Apache Directory」プロジェクトで開発されています。
389 Directory Server(389ディレクトリサーバ)。オープンソースディレクトリサーバです。「Fedora Directory Server」の後継で、商用製品の流れを受けており、ユーザフレンドリーなGUIツールの充実などが特徴です。
OpenIDM(オープンアイディーエム)。高い柔軟性と拡張性を備え、エンタープライズ/クラウド/モバイル/ソーシャル/レガシーなど多様な環境において、ユーザアカウントのプロビジョニングとライフサイクルの一元管理を実現するID管理製品です。
OpenDJ(オープンディージェー)。OpenAMに内蔵されており、先進的なレプリケーションアーキテクチャや「REST API」を搭載したLDAP準拠の高機能オープンソースディレクトリサーバです。
OSS×Cloud ACCESS RANKING