2016年03月28日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一
前回に引き続き、CE版とEE版との違いについて、さらに掘り下げていきたいと思います。
今回は、コンサルティングサービスについて、聞いていきます。
インタビュアー:株式会社オープンソース活用研究所 寺田雄一
インタビュイー:日本ライフレイ株式会社 並木幸太
:日本ライフレイ株式会社 高田景之
Q.コンサルティングサービスについて教えていただけますか?
A.一番多くご提供しているのは、Kick-StartパッケージとGo-Liveパッケージです。
Kick-Startパッケージではプロジェクトの初期段階で、効率的なリスクの少ない開発計画を実現するための要件レビューや設計支援を行います。要件を整理したりプロジェクトの進め方について議論したりします。システムの規模により、2~4週間かけて実施し、お客様の要件に対する解決方法の提案を行います。また、要件ごとの対応も可能です。例えばお客様が必要としている機能は、どのポートレットを使ってカスタマイズすると良いかなど、LIFERAYでのベストプラクティスをアドバイスします。
一方Go-Liveパッケージでは、ローンチ前の重要なタイミングでご支援します。パフォーマンステストとチューニングの専門家が、各種の設定をチューニングしながらパフォーマンスや安定性を向上させていきます。
この2つがお客様に最もご利用いただいているサービスです。
Kick-StartパッケージとGo-Liveパッケージでは共通した支援内容が含まれるため、Kick-Startを4週間など長めに実施するとGo-Liveは2週間程度の短期間で済むケースもございます。メニューはパッケージ化されていますが、プロジェクトの規模によっては必要な日数が増減することがあります。
その他には、アップグレードのサポートや、オンデマンドでコンサルティングも行っています。オンデマンドコンサルティングでは、「この部分を手伝ってほしい」というお客様のご要望に合わせて内容をカスタマイズした支援です。
Q.例えば権限まわりのコンサルティングは難しくはないですか?
A.あるお客様のKick-Startパッケージでロール設計についてヒアリングさせていただいたのですが、その想定だと将来的にロールの数が無限に増えていきますよという話になりました。そしてロール数が増えていくとパフォーマンスに影響が出てきますから、一からロールを設定し直しましょうという結果になりました。最初の設計フェーズで対応出来たので、今では特に大きな問題もなく運営されているようです。
サイトというものは次々に新しいコンテンツや機能、仕組みが追加されてくるので、それぞれのサイト管理者の権限もどんどん変わってきます。サイトが大きくなっていくほど破綻するリスクが膨らんでくるのがロールの設定だと思います。初めにある程度の規模を想定しておいて、それ以上になったらロールを再設定するといった線引きが大切です。
また、Javaは使えるけれどLIFERAYは使ったことがないというお客様でも、我々のコンサルタントがご支援させていただくことで、プロジェクト全体を通して大体3ヶ月位でスキルトランスファーが行えて、システムの基礎が出来上がった状態からその後の開発・運用をスムーズに行えるようになります。一方、とりあえず無償のCE版を使ってみようというような場合、LIFERAYに馴染みのない方が基本的な知識のないままに基礎の部分を作ってしまうと、あとあとトラブルになるケースが多いようです。つまり、極論するとEE版とCE版の違いは、しっかりした基礎の上に家を建てるかそうでないかの違いになります。
Q.最近はプロジェクトをまずはスモールスタートさせるお客様が多いです。最初の設計が間違っていて、それが複製されて増殖すると最終的には大変なことになります。そういうリスクを考えるとやはり初めが肝心なのですね。ところでKick-Startパッケージではエンジニアへのトレーニングも提供されるのですか?
A.Kick-Startパッケージではなく、オンデマンドのメニューとして提供されます。
Q.それはKick-Startパッケージに含まれている、開発のベストプラクティスの提供とは別なのですね?
A.はい、「ベストプラクティスの提供」であって開発方法論そのものをお教えするわけではないので、それとは別に必要なトレーニングの受講をお勧めしています。いずれにせよ、Kick-StartパッケージもGo-LiveパッケージもEE版のお客様だけに提供しています。また、トレーニングもEE版をベースにしていますので、EE版を使っていただく大きなメリットになると思います。
Q.パフォーマンスチューニングについてですが、Go-Liveではなく、例えば運用開始してから一年後に突然パフォーマンスが落ちたといった場合にも対応していただけますか?
A.その場合は、必要なサービス内容だけをオンデマンドで提供させていただきます。
Q.最後に、LIFERAYの最近の導入事例を教えて下さい。
A.昨年11月のLIFERAYシンポジウム(米国、シカゴ)で発表された、ヒューレッド・パッカード・エンタープライズ(以下、HPE)様の事例をご紹介します。HPE様は全世界174ヶ国で25万のパートナーを抱え、パートナーのユーザー数は65万に達していました。その膨大なユーザーが7つの別々のポータルサイトを利用していましたが、ポータルサイトは10年以上前のテクノロジーをベースに構築され、使い勝手も良くありませんでした。ユーザーガイドも56ページに達し、ユーザーのフラストレーションも相当なものでした。
同社はポータルサイトのアプローチを再検証し、社内の情報を社外に発信していたインサイドアウト型から、パートナーなど外部の情報を社内に取り込むアウトサイドイン型に転換することを決め、そのパートナー向けポータルサイトをLIFERAYで再構築しました。再構築のプロジェクトは2013年7月に開始され、データ戦略・統合、コンテンツ・UX、ビルドのフェーズを含めても、開始からわずか半年後にはパートナーによるプレビューが行われ、その2か月後にはベータ版がローンチされました。そしてその3か月後、プロジェクト開始からわずか1年後に、全世界のパートナーに向けてグローバルローンチすることができたのです。
HPユニゾン・パートナー・ポータルと名付けられた新ポータルサイトは、ユーザーに非常に好評です。シンプルなインターフェースで、且つ必要なコンテンツへ簡単にアクセスできるため、パートナーから高い評価を得ています。
HPユニゾン・パートナー・ポータルのユーザーの92%は週に数回利用し、83%が毎日複数回利用しています。旧ポータルサイトに比べ、訪問者数が49%増加しました。利用満足度も大幅に増加し、新ポータルサイトを活用しているユーザーのビジネス機会獲得率は、使ってないユーザーの17倍にも達しています。パートナーの気づきは広がり、より多くの収益をパートナーにもたらしつつ、運用コストは逆に低下させることに成功しました。今ではHPE様における最も「クリティカル」なシステムの1つとされ、1時間のシステム停止で30万ドル(日本円で約3,600万円)の損失が生じると試算されています。
Q.それは素晴らしい効果ですね!ぜひ紹介させてください。本日はどうもありがとうございました。
A.ありがとうございました。
1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。
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Zimbra(ジンブラ)とは、メッセージング/コラボレーションソリューションです。ブラウザベースのインターフェースで、「メール機能」「スケジューラ機能」「アドレス帳機能」「ファイル共有機能」「タスク機能」「各種サービス連携」などを総合的に提供します。
Roundcube Webmail(ラウンドキューブウェブメール)とは、オープンソースWebメールソリューションです。「MIMEサポート」「アドレスブック」「フォルダ管理」「メッセージ検索」「スペルチェック」など、Eメールクライアントに期待される機能を提供します。
ownCloud(オウンクラウド)とは、ファイルホスティングサービスを構築できるコンテンツコラボレーションプラットフォームです。独自のデータアクセス制御やセキュリティにより、セキュアにファイル共有できるオンラインストレージを構築できます。多数のクラウドアプリケーションを通じてアクセスできます。
WooCommerce(ウーコマース)とは、WordPress上でプラグインとして動作するオープンソースのeコマースプラットフォームです。さまざまなカスタマイズが可能であるため、必要なeコマースWebサイトを構築できます。「新規ビジネス用途」「実店舗オンライン化」「クライアント向けサイト構築」などの各種用途に対応できます。
Liferay(ライフレイ)とは、Webシステム開発用総合プラットフォームです。機能部品(ポートレット)を組み合わせて、企業ポータルサイト/コンテンツ管理システムなどを構築できます。オープンソースポータルで世界市場シェア1位の導入実績があります。
Moodle(ムードル)はオープンソースのeラーニングプラットフォームです。LMS(Learning Management System)としての強力な機能を備えており、煩雑な学習状況の管理や採点をサポートし、より高い水準でのeラーニングの提供を可能とします。
Evergreen(エバーグリーン)は、図書館向けのエンタープライズクラス統合管理システムです。図書館の規模や複雑さに関係なく対応できる拡張性を特徴としています。「図書館スタッフ用図書資料管理サポート機能」や「利用者用図書資料検索機能」などを提供します。
Alfresco(アルフレスコ)とはオープンソースのECM製品です。エンタープライズレベルのコンテンツ管理機能とビジネスプロセス管理機能を提供します。エンタープライズコンテンツ管理機能により、「ビジネスドキュメント」「スキャナで取り込んだ画像データ」「写真データ」「設計図データ」「動画ファイル」など、あらゆる種類のコンテンツについて全社レベルでの共同コンテンツ管理を実施できます。
※オープンソースグループウェア「Aipo」は、2018年3月31日で提供終了しています。Aipo(アイポ)とはオープンソースのグループウェア製品です。スケジュール管理機能やワークフロー機能などの一般的なグループウェアの基本機能を搭載しています。その他にも、メッセージ機能や、SNSとして使えるタイムライン表示機能なども搭載しています。
Ghost(ゴースト)とは、プロフェッショナルパブリッシングに対応できるCMSプラットフォームです。「プロ向けに焦点を絞った新しいコンテンツプラットフォームを作成する」というKickstarterキャンペーンが大成功を収めた後に設立された非営利基盤「Ghost」を中心として開発されています。
Canvas LMS(キャンバスLMS)とは、オープンソース学習管理システム(LMS:Learning Management System)です。学習教材配信管理や成績管理など、学習に必要な各種要素を統合して管理できます。世界中の多くの学校で採用されています。
Interchange(インターチェンジ)とは、Webベースの電子商取引用アプリケーションサーバです。「Webアプリケーションサーバ機能」「カタログ機能」「データベース機能」「Webサイト作成機能」「自動化機能」などを提供し、eコマースサイトを構築できます。
Pleasanter(プリザンター)とは、国産オープンソースのビジネスアプリケーションプラットフォームです。ノンプログラミングで簡単に統合業務アプリケーションを作成できます。「顧客管理」「営業支援」「プロジェクト管理」「問合せ管理」などの幅広い業務に活用でき、チームメンバー間のコラボレーションを向上できます。
Nextcloud(ネクストクラウド)とは、オンラインストレージ機能を提供するサーバソフトウェアです。自分自身がコントロールできる環境下にあるサーバにインストールして利用できます。「プライバシー」「セキュア」「柔軟性」などを特徴としています。
Odoo(オドゥー)とは、オープンソースのWebベースビジネスアプリケーションスイートです。必要となるさまざまなアプリを組み合わせてカスタマイズすることで、ビジネスにフィットするアプリケーションスイートにすることができます。世界中で3700万人を超えるユーザーによって利用されています。
Mattermost(マターモスト)とは、企業向けの高信頼メッセージングツールで、Slack風チャット型コミュニケーションツールとして利用できます。エンタープライズレベルで使用できるメッセージングプラットフォームとして、コンプライアンス対応を重視して設計されています。
Magento(マジェント)とは、世界トップクラスのオープンソースeコマース(電子商取引)プラットフォームです。「多言語対応」「多通貨対応」が可能な越境ECサイトを構築できます。Magentoには、越境ECサイトを構築し、ネットショップを運営するために必要十分な機能が一通り搭載されています。
Vtiger CRM(ブイタイガーシーアールエム)とは、オープンソースのCRM/SFAを中心とするビジネス管理スイートです。「営業管理」「マーケティング管理」「サポートサービス管理」「顧客管理」などの幅広い領域をカバーして企業の営業力を向上できます。
MosP(モスプ)とは、「勤怠管理」「人事管理」「給与計算」機能を提供するWebアプリケーションです。日本製であり日本の法令やビジネス慣習に的確に対応できるため日本企業が安心して利用できるプロダクトです。
LibreOffice(リブレオフィス)とは、「Microsoft Office」と同等の機能を持つ、オープンソース高機能オフィススイート製品です。一般的なLinuxディストリビューションのデフォルトオフィススイートになっており、世界で多くのユーザーが利用しています。
WordPress(ワードプレス)とは、コンテンツ管理システム(Contents Management System)です。「シンプルで直感的な操作性」「高いユーザビリティ」「Web標準設計準拠」「拡張性」などが評価され、CMS部門では世界シェアトップを誇ります。
Mastodon(マストドン)とは、Twitterライクなサーバ分散型SNSサービスです。「1企業によって中央集権的に管理されることがないSNSサービス」として大きな注目を集めています。
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