オープンソース活用研究所 | 2014 - 2015 セキュリティ動向のまとめ

2014 - 2015 セキュリティ動向のまとめ

オープンソース活用研究所

2016年01月23日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

2015年12月2日「オープンソースの脆弱性とその対策」が開催されました。本講演は「全体的なセキュリティについて」「オープンソース品質調査レポートの解説」「オープンソースの脆弱性にどう対処するべきか」の三本立てとなっており、全体像から具体的なアプローチについて紹介しました。

最初に、株式会社オープンソース活用研究所 寺田雄一より「2014 - 2015 セキュリティ動向のまとめ」のプレゼンを行いました。

講演資料は公開しておりますので、こちらもぜひご参考下さい。

セキュリティに完璧と絶対は無い

2014年に非常に話題となったHeartbleedや、bashの脆弱性(Shellshock)などを紹介しながら「セキュリティに完璧は無く、おそらく事故はいつか起きるだろう」という話しからプレゼンはスタートしました。

オープンソースが社会インフラとなっている今、脆弱性リスクを懸念してオープンソースを利用しない選択肢は既に無く、起こりうる可能性のあるセキュリティリスクといかに付き合っていくかを検討することが重要です。

独立行政法人情報処理推進機構セキュリティセンター(IPA)より毎年発表される「情報セキュリティ10大脅威」を見ると、2013年から出てくる脅威の顔ぶれはあまり変わりませんが「内部不正による情報漏洩」は、2014年には無かったものが2015年は2位という点に特徴があります。
2015年の潮流としては「内部不正による情報漏洩」「標的型攻撃による諜報活動」「ウェブサービスへの不正ログイン」があげられ、それぞれ象徴的な事件の紹介をしました。

セキュリティ製品だけでは解決が難しい「内部不正」

株式会社ベネッセコーポレーションの顧客情報流出は象徴的な事件でした。再委託業者のエンジニアがデータベースへ不正アクセスを行い顧客情報を入手。名簿業者に販売をした事件です。内部不正は、人に関与する部分が多いため、セキュリティ製品を導入すれば、単純に解決できるものではありません。全ての操作を記録するなど抑止効果を高めることが重要です。

見破るのが難しい「標的型攻撃」

標的型メールでは、業務を装った自然なメールが届き添付ファイルを開くだけで遠隔操作をされてしまったり情報が抜き取られてしまったりするウイルスに感染してしまうものです。最近では、最初のメールには添付ファイルが無く、何度かメールのやりとりをした後に添付ファイルが送信される場合もあり、怪しいかどうか見破るのは非常に難しくなっています。

知らないうちにID/PWDを盗まれる「不正ログイン」

不正ログインでは、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社のTポイントサイトへの不正ログインをはじめとし、多数の事件がありました。これらの不正アクセスの多くはパスワードリスト攻撃が使われています。

パスワードリスト攻撃とは、脆弱性のためセキュリティが弱いサイトで利用者のID/パスワードが盗まれ、そのID/パスワードで様々なウェブサービスにアタックしていく攻撃です。アタックが成功すると1回で認証されてしまうため、不正ログインかを見破るのが難しいという問題があります。

今後の注目 FIDO(Fast IDentity Online)

FIDOはデバイス側の生体認証により個人を特定し、連携するサービスはパスワードを不要とする認証方式です。大手のITベンダー、デバイスベンダー、クレジットカード会社が参加し標準仕様を策定していることで注目されています。

2015年5月にはNTTドコモが参加するということで話題になりました。今後、他の通信事業者も参加して、多くのスマートデバイスの指紋認証で、様々なサービスが連携してログインできることになれば、社会全体で飛躍的に利便性とセキュリティが向上すると考えられます。

次世代ファイアーウォール、行動アナリティクス

セキュリティ製品も進化しています。未知の脆弱性に対して、用意しているバーチャルな環境へわざと感染させ、怪しいと判断した場合に自動的にブラックリストに加えるなどインテリジェントな製品も出現しています。今後は、ユーザーの行動分析を行い、人工知能なども使いながら防御していくことになるでしょう。

セキュリティ事故はいつしか起きる、総合的な対策を

最後に、セキュリティの技術や製品が進化しても、それを導入すれば絶対安全ということは決してありません。内部不正など人が関与するものはもちろんのこと、攻撃側の手法や技術も進化しています。「セキュリティ事故は起こるもの」その前提で総合的な対策を検討していただくことをお勧めいたします。


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著者プロフィール

オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス 「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。

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