2016年01月20日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一
2015年現在、世界で最も利用されているオープンソースのWebプラットフォームと呼べる「LIFERAY PORTAL」の提供形態には2種類があります。
オープンソースとして無償で利用が可能な「Community Edition」(以下、CE版と呼ぶ。)とオープンソースでありつつ企業での利用を念頭におき有償サポートサービスを提供する「Enterprise Edition」(以下、EE版と呼ぶ。)があります。CE版とEE版の大きな違いとなるサポートの内容を中心に、それぞれの特徴について紹介します。
インタビューア:株式会社オープンソース活用研究所 寺田雄一 インタビューイ:日本ライフレイ株式会社 大関ダニエル
Q.CE版とEE版のサポートについての違いを教えてください。 A. CE版のサポートといえば、コミュニティへ質問をして回答を期待するのみです。Liferayコミュニティに集う世界中の色々な人達からの質問や回答がLiferay.comを介して寄せられています。
これらは、LiferayファンやCE版を利用している人の集まり(コミュニティ)です。このコミュニティに参加して頂いて、情報を得ることが可能です。
一方、企業の運用などを念頭にしている場合、正式な回答やサポートが必要な場合は、EE版を利用することでエンタープライズレベルのサポートを利用できます。Liferay社のエンジニアと直接に会話をしながら問題の分析とか解決することができるのは大きなメリットです。 また、Liferayに関わる製品の仕様や使い方の説明が紹介されるカスタマーポータルを利用できるなど、様々な情報を利用することができます。
Q.サポートはどのように行われているのでしょうか? A. サポート用に、チケット・トラッキング・サービスを提供しおり、このサービスを介して、ユーザーが、どのような問題を抱えているかについて、Liferay社のエンジニアと会話をして問題の分析と解決を行います。 また、問題の分析だけではなく、「こんなサイトを立ち上げたいが、このような機能はありますか?」「このポートレットに興味をもっているのですが、どのように使うのですか?」といった、利用に関する相談も、Liferay社のエキスパートが回答を行います。
Q.利用に関する相談やパッチ作成はコンサルティング領域ではないでしょうか? A. Liferayのサポートでは、Liferayに関することは全てサポート範囲としています。「セキュリティフィックスのメールが届いたけど、これはどういう内容ですか?」「障害を発見したと思われるのですが調査してもらえますか?」といった質問に関しても、エンジニアがプロジェクトに関わるように調査や回答を行います。また、Liferayが場所を提供しているポートレットマーケット、MarketPlaceに出ているLiferay製のプラグインについても、利用シーンや機能を利用していく方法を紹介することが可能です。
Q.サポートの大きなメリットを教えてください。 A. エンジニアと直接の会話をしながら問題の分析と解決ができることは大きなメリットですが、さらに大きなメリットとして、Liferayに関する障害が見つかった場合、エンジニアが障害を修正するパッチを作成してホットフィックスとして提供を行います。それぞれのシステムの利用状況でサービスパックやパッチの適用状況が違ってきますので、利用状況に合わせて正常に動作するホットフィックスを個別に作成するなど、きめ細かいサポートを提供しています。
Q.問題が発生した時の障害調査は、どのように行っていますか? A. まず最初に、問題の発生したシステムの環境情報を提供いただき、ほぼ同じ環境の構築を行います。その後、障害が発生した手順の情報を提供いただき、構築した環境で障害が発生するかの手順を確認します。
次に、本来、期待するシステムの動作を明確にしていきます。動作を明確にすることにより、Liferayに起因する障害かを判断し、さらなる分析や情報収集を行っていきます。Liferayの障害と判断された場合は、修正に必要なパッチを作成しホットフィックスを提供します。
Q.提供されるパッチは、問題の発生したシステムの個別パッチなのでしょうか? A. 未知の障害についてのパッチは個別のホットフィックスとして提供しています。こうして様々な利用において作成したホットフィックスをまとめたフィックスパックを作成し、既知の問題が発生しているユーザーに提供をしています。
また、さらに様々な機能のフィックスパックが入ったサービスパックを定期的に提供することで、他の利用者が発見した障害も解決されたバージョンを利用することができるため、効率的に安定したバージョンを利用することが可能です。
Q.ホットフィックスが提供されるまで、どの程度の時間でしょうか? A. おおよそ5営業日くらいで提供できています。
Q.それはとても早い。なぜ早い提供ができるのでしょうか? A. 様々な考え方がありますが、一つは、CE版を含め、世界中のユーザー利用している中で発生する問題を、グローバルで取り扱っていることがあげられると思います。
そして発生した問題の分析は、世界中の様々な地域と時間帯、色々な人の視点で取り組んでいるため、話を始めてみると次の日の朝には既に話が進んでいたり、ある程度ができあがっていたりすることなどもあります。グローバルなオープンソースであるからできる非常に強い点と思います。
Q.グローバルということですが、日本のサポート体制はいかがでしょうか? A. 日本国内のサポートは全て日本語での会話の体制が整っています。グローバルのサポートセンター同士は、英語でコミュニケーションを行っており、解決策をシームレスに提示していける体制となっています。
1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。
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Zimbra(ジンブラ)とは、メッセージング/コラボレーションソリューションです。ブラウザベースのインターフェースで、「メール機能」「スケジューラ機能」「アドレス帳機能」「ファイル共有機能」「タスク機能」「各種サービス連携」などを総合的に提供します。
Roundcube Webmail(ラウンドキューブウェブメール)とは、オープンソースWebメールソリューションです。「MIMEサポート」「アドレスブック」「フォルダ管理」「メッセージ検索」「スペルチェック」など、Eメールクライアントに期待される機能を提供します。
ownCloud(オウンクラウド)とは、ファイルホスティングサービスを構築できるコンテンツコラボレーションプラットフォームです。独自のデータアクセス制御やセキュリティにより、セキュアにファイル共有できるオンラインストレージを構築できます。多数のクラウドアプリケーションを通じてアクセスできます。
WooCommerce(ウーコマース)とは、WordPress上でプラグインとして動作するオープンソースのeコマースプラットフォームです。さまざまなカスタマイズが可能であるため、必要なeコマースWebサイトを構築できます。「新規ビジネス用途」「実店舗オンライン化」「クライアント向けサイト構築」などの各種用途に対応できます。
Liferay(ライフレイ)とは、Webシステム開発用総合プラットフォームです。機能部品(ポートレット)を組み合わせて、企業ポータルサイト/コンテンツ管理システムなどを構築できます。オープンソースポータルで世界市場シェア1位の導入実績があります。
Moodle(ムードル)はオープンソースのeラーニングプラットフォームです。LMS(Learning Management System)としての強力な機能を備えており、煩雑な学習状況の管理や採点をサポートし、より高い水準でのeラーニングの提供を可能とします。
Evergreen(エバーグリーン)は、図書館向けのエンタープライズクラス統合管理システムです。図書館の規模や複雑さに関係なく対応できる拡張性を特徴としています。「図書館スタッフ用図書資料管理サポート機能」や「利用者用図書資料検索機能」などを提供します。
Alfresco(アルフレスコ)とはオープンソースのECM製品です。エンタープライズレベルのコンテンツ管理機能とビジネスプロセス管理機能を提供します。エンタープライズコンテンツ管理機能により、「ビジネスドキュメント」「スキャナで取り込んだ画像データ」「写真データ」「設計図データ」「動画ファイル」など、あらゆる種類のコンテンツについて全社レベルでの共同コンテンツ管理を実施できます。
※オープンソースグループウェア「Aipo」は、2018年3月31日で提供終了しています。Aipo(アイポ)とはオープンソースのグループウェア製品です。スケジュール管理機能やワークフロー機能などの一般的なグループウェアの基本機能を搭載しています。その他にも、メッセージ機能や、SNSとして使えるタイムライン表示機能なども搭載しています。
Ghost(ゴースト)とは、プロフェッショナルパブリッシングに対応できるCMSプラットフォームです。「プロ向けに焦点を絞った新しいコンテンツプラットフォームを作成する」というKickstarterキャンペーンが大成功を収めた後に設立された非営利基盤「Ghost」を中心として開発されています。
Canvas LMS(キャンバスLMS)とは、オープンソース学習管理システム(LMS:Learning Management System)です。学習教材配信管理や成績管理など、学習に必要な各種要素を統合して管理できます。世界中の多くの学校で採用されています。
Interchange(インターチェンジ)とは、Webベースの電子商取引用アプリケーションサーバです。「Webアプリケーションサーバ機能」「カタログ機能」「データベース機能」「Webサイト作成機能」「自動化機能」などを提供し、eコマースサイトを構築できます。
Pleasanter(プリザンター)とは、国産オープンソースのビジネスアプリケーションプラットフォームです。ノンプログラミングで簡単に統合業務アプリケーションを作成できます。「顧客管理」「営業支援」「プロジェクト管理」「問合せ管理」などの幅広い業務に活用でき、チームメンバー間のコラボレーションを向上できます。
Nextcloud(ネクストクラウド)とは、オンラインストレージ機能を提供するサーバソフトウェアです。自分自身がコントロールできる環境下にあるサーバにインストールして利用できます。「プライバシー」「セキュア」「柔軟性」などを特徴としています。
Odoo(オドゥー)とは、オープンソースのWebベースビジネスアプリケーションスイートです。必要となるさまざまなアプリを組み合わせてカスタマイズすることで、ビジネスにフィットするアプリケーションスイートにすることができます。世界中で3700万人を超えるユーザーによって利用されています。
Mattermost(マターモスト)とは、企業向けの高信頼メッセージングツールで、Slack風チャット型コミュニケーションツールとして利用できます。エンタープライズレベルで使用できるメッセージングプラットフォームとして、コンプライアンス対応を重視して設計されています。
Magento(マジェント)とは、世界トップクラスのオープンソースeコマース(電子商取引)プラットフォームです。「多言語対応」「多通貨対応」が可能な越境ECサイトを構築できます。Magentoには、越境ECサイトを構築し、ネットショップを運営するために必要十分な機能が一通り搭載されています。
Vtiger CRM(ブイタイガーシーアールエム)とは、オープンソースのCRM/SFAを中心とするビジネス管理スイートです。「営業管理」「マーケティング管理」「サポートサービス管理」「顧客管理」などの幅広い領域をカバーして企業の営業力を向上できます。
MosP(モスプ)とは、「勤怠管理」「人事管理」「給与計算」機能を提供するWebアプリケーションです。日本製であり日本の法令やビジネス慣習に的確に対応できるため日本企業が安心して利用できるプロダクトです。
LibreOffice(リブレオフィス)とは、「Microsoft Office」と同等の機能を持つ、オープンソース高機能オフィススイート製品です。一般的なLinuxディストリビューションのデフォルトオフィススイートになっており、世界で多くのユーザーが利用しています。
WordPress(ワードプレス)とは、コンテンツ管理システム(Contents Management System)です。「シンプルで直感的な操作性」「高いユーザビリティ」「Web標準設計準拠」「拡張性」などが評価され、CMS部門では世界シェアトップを誇ります。
Mastodon(マストドン)とは、Twitterライクなサーバ分散型SNSサービスです。「1企業によって中央集権的に管理されることがないSNSサービス」として大きな注目を集めています。
OnlyOffice(オンリーオフィス)とは、「オンラインオフィススイート機能」+「各種オンラインコラボレーション機能」を提供する多機能ポータルです。
OpenCms(オープンシーエムエス)とは、「使いやすい」「信頼性が高い」など特徴を持つプロフェッショナルユースに対応できるコンテツ管理システムです。
XOOPS Cube(ズープスキューブ)とは、コミュニティポータル構築に特化した国産のCMS(コンテンツマネジメントシステム)です。個人ホームページから本格的コミュニティサイトまで幅広いジャンルのWebサイトを手軽に構築できます。
OSSカレンダーはシンキングリード社が企業での利用を想定して開発されたスケジュール管理アプリケーションです。また、日本の企業が開発を行っているため日本での利用がしやすいのが特徴です。
baserCMS(ベーサーシーエムエス)。「日本人が日本人のために開発している」国産CMS(コンテンツマネージメントシステム)です。CakePHPで実装されており、主にコーポレートサイト向きに設計されています。
Concrete5(コンクリートファイブ)。ブラウザから直感的にサイトの運営管理が行えるCMSです。人気/シェアともに高まってきている注目のCMSです。
Movable Type Open Source(ムーバブルタイプオープンソース)。CMS製品です。静的出力の仕組みにより比較的安価なサーバで大量のアクセスに対応しやすい特徴があります。
Geeklog(ギークログ)。セキュアなオープンソースCMSです。一般的サイト/グループウェアサイト/高機能ポータルサイトなどを構築できます。日本語版が充実している点が特徴です。
F-RevoCRM(エフレボシーアールエム)は、高機能なオープンソースCRMアプリケーションとして世界中で活用されているvtigerCRMをベースに、日本の企業文化に合わせシンキングリード社が独自にカスタマイズを行ったフリー&オープンな高機能CRMアプリケーションです。
SugarCRM(シュガーシーアールエム)。オープンソースCRM(顧客関係管理)/SFA(営業管理)ソリューションです。顧客情報/営業案件情報などを管理し営業活動をサポートします。
iDempiere(アイデンピエレ)。OSGi、Buckminster、ZK Web UI6.0、Java7などの最新アーキテクチャを採用した、ADempiereの後継の高機能ERPパッケージ
Apache OpenOffice(アパッチオープンオフィス)。「Microsoft Office」と同等の機能を持つ、オープンソース高機能オフィススイート製品。
Joomla!(ジュームラ)。サイト構築や運営を、パワフルに、拡張的に、一元的に管理できる特徴を持つCMS(Content Management System、コンテンツ管理)ソリューションです。
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