Zabbix 3.0の新機能とAPIを利用したステータスの可視化や設定ツール

2015 年 5 月 28 日 (木) に、当社主催にて「Zabbixだけじゃない！　OSSを徹底活用して運用自動化を実現」セミナーを開催致しました。おかげ様で定員40名のところ、約100名の方にお申込み頂くなど、大好評のセミナーとなりました。ありがとうございます。 今回は、本イベントにてZabbix Japan 代表 寺島 広大 様にご講演いただいた「Zabbix 3.0の新機能とAPIを利用したステータスの可視化や設定ツール」の内容をご紹介致します。

（著者：TIS株式会社　池田 大輔）

Zabbix社とZabbixJapan社についてのご紹介

Zabbix社は、ヨーロッパのラトビアという国に本社があり、Zabbixというシステムの開発を行っています。日本支社であるZabbix Japanは、主に日本国内向けのサポート、日本国内から上がってきたバグの報告、3.0に関わる一部実装の意見出し等をやっています。

Zabbix3.0のリリーススケジュール

Zabbix3.0は、本社は「8月にリリースをしたい」と言っています。８月に向けた開発は順調に進んでいるとのことです。そろそろリリース間近ということで、是非期待をしておいて頂ければと思っています。

Zabbix3.0開発ロードマップとWikiサイト

ZabbixのWikiサイトにロードマップがあります。ここでは、3.0に入る機能には何があって、開発中のもの、開発完了したものについてのリストが出ています。それに加えて、開発者が意見を交換しているところも全て見て頂くことができます。全部英語になってしまいますが、最新の開発状況等は、こちらで把握することができますので、是非見て頂ければと思います。

Zabbixのバージョンアップ姿勢

ここのリストを見ると、比較的細かいものが多いかなと思います。Zabbixはメジャーバージョンが上がる度に、「マーケティング的に大きなメッセージ性を出すような機能を追加しました」というよりは、オープンソースらしく、皆さまから上がってきた要望について改善していくことを、ずっと積み重ねてきました。Zabbixは、監視設定の自動化周りの改善について、ここ数バージョン注力しており、徐々に改善をしてきているという状況です。後は、ログ監視周りの改善についても、大きく手が入ったものが3.0でリリースされる予定になっています。

Zabbix3.0の目玉機能

3.0の目玉機能としては、特に『Zabbixコンポーネント間の通信の暗号化』が挙げられます。これには認証も含まれます。「Zabbix単体でも暗号化ができるようになる」というのが大きな機能強化となります。

Webインターフェイスデザインとリファクタリング

Webインターフェイスのデザインが大きく変わっています。しかし、「操作性自体はこれまでとそこまで大きく変わることはないかな」と思っています。「PHPのコード自体がだんだん複雑になってきてしまっている」という問題があったため、大幅なリファクタリングが進んでいます。これによって、パフォーマンス等の改善も行われています。

その他

今回のZabbix3.0では、一部要望が多いものについて、フィルタを強化するという形で改善を行っています。 また、3.0では、ローレベルディスカバリ周りの改善が多く入っています。 さらに、『任意のタイミングでアイテムのデータを取得』できるようになります。cron設定のような形で「1日に1回00時00分に監視をする」というような設定ができるようになるので、決まったポイントで監視ができます。それと、データベースから古いデータを削除する処理であるhousekeeperの実行タイミングも、任意に設定できるようになります。

コミュニティシェアサイト

コミュニティシェアサイトが公開されています。テンプレート、ローダブルモジュール、スクリプト等、監視に使えるようなツールが公開されていて、「コミュニティベースで誰でもシェアできるようにしよう」というようなサイトになっています。こういったサイトをうまく活用して頂ければ、監視の設定等もやって頂きやすくなると思います。

Zabbix APIとは

Zabbix APIは、HTTP経由でJSON RPCという規格でデータを投げて頂くと、それに応じた値が返ってくるというものです。API経由で基本的にできるのは、監視の設定を投入すること、設定を取得すること、収拾したデータを取得して表示すること等です。

Zabbix APIに関する情報

APIに関する情報は、大きなものでは、Zabbixのドキュメントと、Webのコミュニティサイトの２つがあります。基本的には、メソッドとパラメータ等の使う上で必要な情報はここに載っていますので、ドキュメントを参照しつつ、必要に応じてコミュニティサイトのツール類を活用することでより簡単にAPIを利用したアプリケーションの開発が可能です。

Zabbix APIを利用したツール

APIを使用した汎用的に使える便利ツールのようなものは存在しますが、高機能なものになればなるほど、Zabbixのバージョンが上がった時に開発者が対応してくれないと動かなくなってしまったりすることがあります。どういうツールが欲しいのかというのは、ユーザによってまちまちな部分が多いので、誰かが作ったカッチリとしたものを使っても、ピッタリはまらないパターンは少なくありません。設定投入などの自動化をしたい場合は、ある程度自分で作って頂いたほうが効率的かもしれません。それを補助するためのツールやサンプルコードは多く公開されています。

APIを利用する場合のポイント

APIはそんなには難しくありません。単純に「この値を取りたい」というのをパラメータで指定して、リクエスト(HTTP)を投げるだけというものなので、使ってみて頂くとすぐに理解して頂けると思います。 私が書かせていただいた記事「Zabbix APIを使った外部ツールとの連携」なども見て頂くと分かりやすいと思います。ChromeやFirefoxのプラグインも出ているので、これらを使って頂くと、簡単にアクセスできます。

Zabbix APIを利用したダッシュボード

Zabbix Japan社内でダッシュボード画面を開発しています。APIしか使用していませんが、障害と復旧を対応付けて表示、障害対応コメントをタイムラインのように表示、障害発生数履歴をグラフにして表示、といったことができます。APIライブラリ等を活用して頂ければ、このようなものでも、それほど手間をかけずに作ることができると思います。

まとめ

「Zabbix 3.0の新機能とAPIを利用したステータスの可視化や設定ツール」いかがでしたでしょうか？ まずは、リリース間近のZabbix 3.0を、皆様と一緒に楽しみに待ちたいと思います。