LibreOffice -- 自由なオフィススィートとそれを生み出すコミュニティ --

本当の意味で「Libre」なコミュニティ

LibreOfficeの「Libre」とはなんでしょうか。ラテン系の単語で「自由」の意味です。カクテルの「キューバ・リバー」のリバーも同じ意味（キューバの自由）で、こちらは英語読みですが、LibreOfficeはあえて「リブレ」と読みます。「自由なオフィススィート」こそがLibreOfficeの意味するところです。

そもそもOOoの開発チームは「自由」とはいえない閉鎖的なもので、それに対して自由を指向するメンバーが、Oracleによる買収をきっかけに袂を分かったのがLibreOfficeであり、開発母体であるThe Document Foundation（TDF）なのです。その後OracleはOOoプロジェクトの休止を決断しApache財団に商標ごと寄贈したのが現在のApache OpenOffice（AOO）であって、AOOはLibreOfficeの弟という関係にいます（図３）。名前が「オープンオフィス」だからといってAOOの方が直系というわけではありません。余談ですが、LibreOfficeがなにかというと「コミュニティの活発さ」を誇る傾向があるのに対し、AOOは「ダウンロード数」の自慢ばかりしているのは対照的ですね。

図3:OpenOffice.orgとLibreOfficeとApache OpenOfficeの関係

LibreOfficeはOOoの子どもでAOOのお兄さん

さて、自由というのは何が自由なんでしょうか？ 先ほど述べた再配布の自由もそうですが、LibreOfficeにおいて強く強調したいのは「コミュニティの透明性が高くて参加することが自由」という点です。

例えば、LibreOfficeはUbuntuやOpenStackなどと同じ、タイムベースリリースという方式をとっています。半年に一度と決まった時期にメジャーリリースが出ます（次のメジャーリリース4.2は来年1月末リリース予定です）。また不具合修正は月に一回リリースされるマイナーリリースで行われます。

このような仕組みは開発者を大胆にさせてくれます。入れた変更がすぐにプロダクトに反映されるわけですから。また大きな間違いをしても修正するチャンスが与えられているということです。

しかしタイムベースリリースは開発を加速する一方で、品質保証にかけられる時間が限られてしまいます。これは「LibreOfficeは品質が悪い」ことを意味するのでしょうか？ いいえ、そうは言い切れません。

まず、LibreOfficeの開発メンバーは新しい機能を入れ込むときになるべくユニットテストを書くようにしています。これによって、OOo時代からずっとあった根深い不具合が発見され、修正されたりしています。

そしてもうひとつ、タイムベースリリースでリリースのスケジュールが予め分かっているということは、ユーザーであっても計画的に事前に評価に参加でき、品質向上に寄与できるということです。ユーザーがコミュニティに加わって一緒にプロダクトを育てることができるというのはステキだと思いませんか？

もちろん腕に覚えがあればソースコードを修正して不具合を直すこともできます。そのときにも必要なことはgitのコマンドを叩くことと、ライセンス同意のメールを一通書くだけです。面倒くさい手続きは一切不要なのです。

基本的に、能動的に「こうしたい！」といったときには暖かく応援してくれるのがLibreOfficeというコミュニティです。そういうコミュニティの熱意とかアクティブさとか楽しさとかそういうことこそが、LibreOffice最大の魅力だと私は感じています。

仲間になろう！

そんなステキなLibreOfficeコミュニティですが、まだまだ仲間を必要としています。

日本語コミュニティに関しても、日本語固有のバグ（縦書とかルビとか）についてはまだまだ整理が足りていませんし（直す人もなかなか現れません）、翻訳の人員もとても足りているとは言えない状況です。

ぜひ、メーリングリスト (http://ja.libreoffice.org/get-help/mailing-lists/) を購読して、バグを報告したり、翻訳に参加したりしましょう。「自分の使うものを自分で良くする」というのはとても楽しいことなんですよ！