2016年03月23日
セキュリティーソリューション部 栗原 浩行
2015年11月13日、株式会社アクシオによる『主要シングルサインオン製品 徹底比較』セミナーが開催されました。
株式会社アクシオは、シングルサインオンなどの統合認証基盤システム分野を15年間取り扱っており、100社をこえる導入実績を保有しています。本セミナーでは、これら15年の導入実績と、実際に構築した技術者の生々しい意見を取り入れ、主要シングルサインオン製品の5つの比較が行われました。
はじめに、現状のIDを取り巻く状況の把握について「キーマンズネット2014年特集」の資料をもとに説明がありました。
従業員数の規模によらず、まだまだ多くの企業が複数のIDを利用しており、ID管理者からは「人事イベントに紐付いたIDの変化を考慮しながらセキュリティを担保することは大変」という声が多いそうで、シングルサインオンを実現したいというニーズが今なお多いという状況がわかりました。
次に、シングルサインオンの3つの基本構成と導入で良くある誤解の紹介がありました。
3つの基本構成
「リバースプロキシ型」
アプリケーションの改修を基本的に必要としない構成。集中管理を行なうえるが、負荷が集中するとシングルサインオン機能の全体に影響を与える可能性がある。
「エージェント型」
それぞれのWebサーバにエージェントをインストールする構成。一つのWebサーバがダウンしてもシングルサインオン機能の全体に影響を与えることが無い。
「ハイブリッド型」
「リバースプロキシ型」と「エージェント型」を併用する構成。当初「エージェント型」で導入したが、その後、SalesforceやOffice365などのクラウドサービスを利用し始めた場合に「リバースプロキシ型」を併用するケースが多い。
これらのシングルサインオン導入で良くある誤解として、製品を導入するとシングルサインオンがすぐに実現できると思ってしまうこということがあるようです。
シングルサインオンは「1つのIDとパスワードでログインする」「1回のログインで複数のアプリケーションを利用する」機能の基盤であることから、基盤をを利用するにはアプリケーション側の対応やデータ移行などが前提があります。そのため、シングルサインオン製品の仕組みに加え「導入・運用性」「アプリケーションの移行性」「カスタマイズ性」の視点が重要なポイントと提唱していました。
その視点から、主要なシングルサインオン製品の中より5つの製品比較が行われました。
製品比較に選択されたのは以下の5つです。実際に導入したエンジニアの声を生々しく取り入れての製品比較は、シングルサイオン導入においては非常に参考となるものでした。
製品比較された主要シングルサインオン製品
「IceWall」
「GMOグローバルサイン シングルサインオン」
「Novell Access Manager」
「OpenAM」
「Oracle Access Manager」
導入が一番に簡単で、ベース機能であればインストールに一時間もかからないとのことです。マニュアルも日本語で用意されているため導入は容易と思いました。
しかし、各種設定がファイルベースで管理されているので、実際にはHTTPやApacheの動きを十分に理解している必要があることや、そのために他製品から乗り換える場合には少し戸惑うかもしれないと説明がありました。また、機能によっては追加で有償のオプションが必要がありますが、Federation機能は通常にバンドルされていて欲しいという声がエンジニアから声あがっているようです。
「GMO グローバルサイン シングルサインオン」
GUIベースでの設定ができるのと、日本語マニュアルが用意されているため構築や導入は簡単ですが、本製品の特徴となる、Federationの理解がない場合は導入が非常に難しくなってくると思いました。
また、SAMLでのシングルサインオン製品は同じとなりますが、アプリケーション単位のアクセス制御が原則となるため、同じアプリケーション内でのアクセスを制御することはできないとの説明がありました。
次回は、
「Novell Access Manager」
「OpenAM」
「Oracle Access Manager」
について紹介していきます。
2022年11月11日(金)16:00~17:00 『今、知っておくべきサイバー攻撃の実態 ~一番危険なセキュリティリスクは何なのか?~』 と題したウェビナーが開催されました。 皆様のご参加、誠にありがとうございました。 当日の資料とサマリー動画を以下から無料でご覧いただけます。 ご興味のある企業さま、ぜひご覧ください。
「OSV-Scanner」(OSVスキャナー)とは、Google製「脆弱性スキャナー」です。「プロジェクト依存関係リスト」と「既知脆弱性」を照合するための「OSVデータベースへのフロントエンド」を提供します。パッケージリストに対して詳細チェックを実施することで、パッチ適用の必要性情報を得られます。
FreeRADIUS(フリーラディウス)とは、オープンソースの高機能RADIUSサーバです。「RADIUS」はネットワーク上で「利用者認証」「権限付与」「利用状況記録」などを実施するための認証プロトコルであり、デファクトスタンダードとして広く使用されています。
Google Authenticator(グーグルオーセンティケーター)とは、Googleが開発している2段階認証(2要素認証)用トークンソフトウェアです。「SMSテキストメッセージ」「音声通話」「モバイルアプリ」などを使用して認証コードを送信/生成します。Googleサービスのみではなく、他社サービスの認証にも利用できます。
Vuls(バルス)とは脆弱性スキャンツールです。脆弱性データベースから脆弱性情報を取得して、「Linux(FreeBSD)系OS」「各種ミドルウェア」「各種フレームワーク」などに対する脆弱性存在を検査し、詳細情報をレポーティングします。サーバにインストールされているソフトウェアに対する脆弱性存在チェックに利用できます。
WireGuard(ワイヤーガード)とは、VPN(Virtual Private Network)ソリューションです。「Linuxカーネルツリーにマージ」「シンプル」「使いやすい」「数行のコードで簡単に実装」「ハイパフォーマンス」「学術研究をベースとして実装されている高いセキュリティ」などを特徴としています。
OpenLDAP(オープンエルダップ)とは、ディレクトリサービスを提供するオープンソースLDAPサーバです。サーバ間やシステム間で認証連携を行い、ユーザー情報データベースを統合管理することで、シングルサインオンを実現するための共通基盤となります。ディレクトリ情報の一元管理により、運用管理の作業負荷を大幅に削減し、セキュリティを強化できます。
OpenVAS(オープンバス)とは、セキュリティチェック用脆弱性スキャンツールです。包括的で強力な脆弱性スキャンを行うことで脆弱性管理をサポートします。対象ホストのOSやソフトウェアに既知の脆弱性が含まれているかどうかについて自動でチェックを行い、詳細レポートを作成します。
Metasploit Framework(メタスプロイトフレームワーク)とは、セキュリティ脆弱性テストフレームワークです。コンピュータセキュリティに関するオープンソースプロジェクトで、「情報収集」「脆弱性検出」「ペネトレーションテスト」などを主な守備範囲としています。
ClamAV(クラムエーブイ)とはアンチウイルスエンジンです。さまざまな「ウイルス」「マルウェア」「悪意のある脅威」などを検出します。「ファイルスキャン」「電子メールスキャン」「Webスキャン」などエンドポイントセキュリティを含むさまざまな状況で利用できます。
Snort(スノート)はネットワーク型IDS(不正侵入検知システム)です。ネットワーク上を流れるパケットを解析して、不正パターンに合致するパケットを検知したら警告を発します。「パケットスニファ」や「パケットロガー」としても利用でき、豊富なアウトプットプラグインによる機能拡張が可能です。
OpenAM(オープンエーエム)とは、オープンソースの認証ソリューションです。「認証」「アクセス認可」「フェデレーション」などの高機能を備え、シングルサインオン機能を提供します。商用製品と同等の機能が実装されており、「アクセス制御の統合/強化」「セキュリティ対策」「個人情報漏洩防止強化」などのメリットがあります。
Keycloak(キークローク)とは、WebアプリケーションおよびRESTfulWebサービス用のシングルサインオン機能を提供するアクセス管理ソリューションです。「シングルサインオン認証フレームワーク」+「管理コンソール」でシングルサインオン環境を構築するための一通りの機能を提供します。
Shibboleth(シボレス)とは、シングルサインオン機能を提供するソリューションです。連合アイデンティティソリューションとして世界で広く展開されており、ユーザーを組織内外の両方のアプリケーションに接続します。
OpenVPN(オープンブイピーエヌ)とは、オープンソースのVPN(Virtual Private Network)構築ソフトウェアです。「堅牢なセキュリティと安定性」が特徴です。
WSO2 Identity Server(ダブルエスオーツー アイデンティティ サーバ)とは、シングルサインオンソリューションです。アプリケーション/API/クラウド/モバイル間で統合ID管理を行います。
LibreSSL(リブレ エスエスエル)とは、SSL/TLSプロトコルのオープンソース実装(通信用ソフトウェア)で、「OpenSSL」の派生改良版です。圧倒的シェアを持つが問題が多い「OpenSSL」を代替できるものとして期待されています。
OpenSSH(オープンエスエスエイチ)。ネットワーク経由通信を暗号化する「SSH」のオープンソース実装です。おもにUNIX/Linuxサーバに対するネットワーク経由でのリモートログインに使用します。
OpenSSL(オープンエスエスエル)。オープンソースSSL/TLS暗号化ライブラリです。世界中のWebサイトで圧倒的シェアを持っており、事実上の業界標準となっています。
Apache DS(アパッチディーエス)。オープンソースのLDAP(ディレクトリ)サーバです。「Apache Directory」プロジェクトで開発されています。
389 Directory Server(389ディレクトリサーバ)。オープンソースディレクトリサーバです。「Fedora Directory Server」の後継で、商用製品の流れを受けており、ユーザフレンドリーなGUIツールの充実などが特徴です。
OpenIDM(オープンアイディーエム)。高い柔軟性と拡張性を備え、エンタープライズ/クラウド/モバイル/ソーシャル/レガシーなど多様な環境において、ユーザアカウントのプロビジョニングとライフサイクルの一元管理を実現するID管理製品です。
OpenDJ(オープンディージェー)。OpenAMに内蔵されており、先進的なレプリケーションアーキテクチャや「REST API」を搭載したLDAP準拠の高機能オープンソースディレクトリサーバです。
OSS×Cloud ACCESS RANKING