クラウド時代におけるシステム運用の課題と対策 勉強会（4回目）

こんにちは！TIS株式会社 OSS推進室の倉持です。

2015年9月14日、TIS株式会社 セミナールームにて、『クラウドオーケストレーションと構築・運用の「アジャイル化」～クラウド時代におけるシステム運用の課題と対策 勉強会～』を開催致しました。

本稿では、勉強会での講演の中から、TIS株式会社 IT基盤技術本部 OSS推進室長 溝口 則行による『すぐ取り組むべき「標準化」、「自動化」と、OSSの活用　〜 OSS活用第2世代から第3世代へ 〜』の内容を、ダイジェストでご紹介致します。

なお本稿は、TIS株式会社 溝口の講演内容をベースに、倉持監修のもと、オープンソース活用研究所にて作成、編集しました。

講演資料は公開しておりますので、こちらもぜひご参考下さい。

"クラウド×OSS"時代の自動化に向けて

「ISHIGAKI Template」は、基本の「WebAPサーバ」「DB」の他、色々なミドルウェアやツールにより構成されます。これのインストレーションは「Chef」を利用することで自動化を実現しています。

インストレーションには、これまで四〜五時間の作業を要していましたが、自動化を導入したことで一時間程度に短縮され設定ミスが無くなりました。テンプレートとしての構成が決まっているからこそ、「Chef」を利用した自動化を実現することができました。

求められるIT基盤運用の自動化

運用担当者は、仮想化レイヤーなど階層が複雑化かつ複数に並ぶIT基盤環境を運用しなければなりません。運用するレイヤーや数も更に増えてくることから、運用作業の効率化と適切な運用を自動的に行うことが求められています。

監視ツールを核にした各種機能との連携

効率化を図るにしても運用作業は多岐にわたります。そこで、私たちは「ISHIGAKI Template」によるインフラのインストレーションの自動化の他に、監視ツールを中心とし、運用に絡む色々な作業を繋げていくことで効率化を図る仕組みを行っています。

APIを中心に色々な運用ツールを繋げ、組み合わせることで運用管理をトータルなエコシステムとして実現しています。

各種連携事例の紹介

ここでは各種連携事例を紹介します。

「CloudWatch」との連携
「CloudWactch」からRDS固有の情報を取得し、「pg_monz」というZabbixテンプレートを組み合わせることでRDSの状況を管理することが出来るようになりました。

ジョブ管理ツール「JobScheduler」と「Zabbix」
「Zabbix」はバッチジョブ機能が無いことから、他のバッチジョブツール「JobScheduler」とAPIで連携することができます。私たちは更に、「HyClops」という機能拡張を開発しOSSで公開しました。

「HyClops」を利用することで、バッチジョブが増えると自動的に連携するなど、両方の機能を自動で連携することができるようになりました。

ログ収集ツール「Fluentd」と「Zabbix」
「Zabbix」が不得意なログパターンなどを「Fluentd」と連携することで、前さばきを行い見易くすることが出来るようになりました。

障害発生時の対応フロー管理の自動化
障害発生→チケット起案→構成情報の参照をスムーズに実現するため、インシデント管理のOSSである「OTRS」との連携をするこが出来ます。お客様によっては「Redmine」と連携しているケースも見受けられます。

OSSエコシステムの一員として　〜 貢献を競う時代 〜

私たちは、OSSの取り組みについての社外活動を多く取り組んでいます。

特に「PostgreSQL」については「PostgreSQLエンタープライズ コンソーシアム(PGECons)」での講演や、PostgreSQLを監視するための Zabbix拡張機能を開発（SRA OSS, Inc.と共同開発）し、OSS公開するなど力を入れています。もう一つは、「Zabbix」の情報発信、機能強化、開発した機能拡張をOSSとして公開しています。

まとめ＆TISからの提案「クラウド時代のOSS活用を担う力となるために」

OSSはIT基盤として標準プラットフォームとなっていくでしょう。しかし、メインフレーム並の可用性は無く万能では有りませんので、きちんと要件定義を定めていくことが「OSSによる標準IT基盤」を有力な候補とするものと捉えています。

また、保守サポートが不安という要素も、代表的なOSSについては多くの保守企業が存在し解決済みであり、企業の情報システム基盤を、OSSを中心とした基盤で検討をしていただくことが可能です。

もし、複数カテゴリのOSS化が難しければ単品で部分的に使いはじめることも現実的にありえると思います。これらを踏まえ、OSSを検討したいが、まずは社内への説明や勉強からという場合などもお声掛けくだされば勉強会なども開催いたしますので、ぜひ「エンタープライズOSSサポートサービス」をご検討いただければと思います。

（TIS株式会社 IT基盤技術本部 OSS推進室長 溝口 則行のプロフィール）
勤務先でのOSS推進グループのリーダをしつつ、会社を抜け出してOSS関連のコンソーシアムなどによく出没する。得意分野は懇親会。技術系ブログサイト「Tech-Sketch」では、同僚のタレントたちがOSSの最新情報を書いている中で、なぜかネットワークとか性能工学とか異色のネタを披露している。