2014年03月27日
株式会社オージス総研 千野修平・諸橋純也
(第2回)OpenAMを拡張した、「ThemiStruct-WAM(テミストラクト-ワム)」
(第3回)OpenAMと連携する、発行枚数に依存せず定額な電子証明書とは?
(第4回)OpenAMを活用し、事前に許可したスマートフォンやタブレットにのみ、アクセスを許可するには?
(第5回)OpenAMを活用した、BYODにおけるセキュリティ強化の手法は?
(第6回)OpenAMによる、Office 365の認証統合
(第7回)OpenAMを活用して、Office 365のセキュリティを強化するには?
オープンソースを活用したソリューション提供に積極的に取り組んでいる株式会社オージス総研。今回は、オープンソースの「OpenAM」を活用した統合認証ソリューションで、今業界から注目を集めている「ThemiStruct-WAM(テミストラクト-ワム)」について特集します。「ThemiStruct-WAM(テミストラクト-ワム)」の開発元である株式会社オージス総研で実際にプロダクトやソリューションの開発を担当されている、サービス事業本部 テミストラクトソリューション部の千野様、諸橋様にお話しをお伺いました。
第1回は、「ThemiStruct-WAM(テミストラクト-ワム)」のベースとなっている、OpenAMについてお話しを伺いました。(インタビューア:オープンソース活用研究所 寺田)
(寺田)
本日は、現在注目度が高まっている、オープンソースの「OpenAM」についてお話しを伺いたいと思います。宜しくお願い致します。
最近、おそらく御社でも、シングルサインオンや統合認証などに関するお客様からの問合せやシステム開発の依頼が大変多いかと思います。世の中でニーズが高まっているということだと思いますが、どのような背景があるのでしょうか。
(千野)
以前はシングルサインオン、統合認証の用途としては、企業の中だけの利用でした。今風にいえば「オンプレミス」に閉じた世界でのニーズだったと思います。
ところが近年、企業の規模を問わず、Office365、GoogleApps、SalesforceCRMを始めとしてエンタープライズ向けのクラウドサービスが普及してきました。それにともなって、クラウドサービスに対しても、企業内のシステムに対するのと同様に、シングルサインオン、統合認証を使いたいというニーズが急速に増えてきました。
従来の企業内でのニーズも減っているわけではありません。認証基盤のリプレース案件もあります。これらに、クラウドサービス向けのシングルサインオン、統合認証のニーズが加わって、お客様からの問合せが増えているのだと思います。
(寺田)
なるほど。確かにクラウドサービスの利用は増えていますね。
別の視点で私が感じていることがあります。昨今企業の合併、統合など多くなっていると思います。また、日本企業のグローバル展開がかなり増えていますが、先行して多数の海外拠点を持つ大手の企業が、グローバル規模での情報システムの統合を行うケースが増えてきているようです。こういった企業の合併や、グローバル規模での情報システム活用といった流れの中でもシングルサインオン、統合認証へのニーズが高まっているように思うのですが、いかがでしょうか?
(諸橋)
おっしゃる通り、そういったニーズは増えています。グローバルでのニーズは特に製造業で多いですね。これらへの対応はSAMLという標準仕様に対応することで解決しているケースが多いです。OpenAMは標準でSAMLに対応しています。
(諸橋)
OpenAMが注目されている背景について、もう1つあると思います。
最近、インターネット上のシステムで、個人情報が盗まれたり、アカウントが乗っ取られるような事件が多く発生しています。直接的な原因は、利用者が安易なパスワードを設定していることなどによるものが多いのですが、パスワードポリシーを強化するだけは対応しきれない状況になってきています。もはや、ID、パスワードだけの認証では限界が来ているといってよいと思います。
(寺田)
OpenAMを使うと、そのような問題を解決できるのでしょうか。
(諸橋)
はい。対策としては多要素認証とリスクベース認証が有効です。
多要素認証とは、ID、パスワード以外の情報、例えばワンタイムパスワードやクライアント証明書で認証を行う仕組みです。
またリスクベース認証は、利用者側の条件、例えばアクセスしている場所や、利用している端末、アクセスした時間などによって認証の条件を変更する仕組みを言います。
OpenAMはこれらの機能に対応しており、インターネット上のシステムのセキュリティを飛躍的に向上させることが可能です。
(寺田)
OpenAMの話しが先に出てきてしまいましたが、OpenAMについてご存知ない読者もいるかと思いますので、簡単に紹介していただけませんでしょうか。
(千野)
OpenAMは、旧サン・マイクロシステムズが提供していた、Sun Access Managerというシングルサインオンのためのソフトウェアを、同社がオープンソースとして公開したものです。当時、シングルサインオン製品の中でもシェアが高く、日本での導入事例も多いソフトウェアでした。したがってオープンソースではありますが、海外、国内問わず、実はとても導入実績が多いソフトウェアなのです。
冒頭にお話ししたとおり、最近ではお客様のニーズが企業内のシングルサインオンから、クラウドサービスとの認証連携へと変わってきています。OpenAMは現時点ではフォージロック社が開発を引き継いでおり、お客様のニーズに対応するべく最新の機能を取り入れています。「ThemiStruct-WAM(テミストラクト-ワム)」はOpenAMをベースに、さらに日本のお客様向けに機能を拡張したり、日本語マニュアルを整備したりして、多くのお客様にご利用頂いています。
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株式会社オージス総研で、オープンソースを活用したIT基盤ソリューションであるThemiStruct(テミストラクト)の開発に従事。 サービス事業本部 テミストラクトソリューション部 プロフェッショナルサービス第二チーム 千野修平 サービス事業本部 テミストラクトソリューション部 プロフェッショナルサービス第一チーム 諸橋純也
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FreeRADIUS(フリーラディウス)とは、オープンソースの高機能RADIUSサーバです。「RADIUS」はネットワーク上で「利用者認証」「権限付与」「利用状況記録」などを実施するための認証プロトコルであり、デファクトスタンダードとして広く使用されています。
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Vuls(バルス)とは脆弱性スキャンツールです。脆弱性データベースから脆弱性情報を取得して、「Linux(FreeBSD)系OS」「各種ミドルウェア」「各種フレームワーク」などに対する脆弱性存在を検査し、詳細情報をレポーティングします。サーバにインストールされているソフトウェアに対する脆弱性存在チェックに利用できます。
WireGuard(ワイヤーガード)とは、VPN(Virtual Private Network)ソリューションです。「Linuxカーネルツリーにマージ」「シンプル」「使いやすい」「数行のコードで簡単に実装」「ハイパフォーマンス」「学術研究をベースとして実装されている高いセキュリティ」などを特徴としています。
OpenLDAP(オープンエルダップ)とは、ディレクトリサービスを提供するオープンソースLDAPサーバです。サーバ間やシステム間で認証連携を行い、ユーザー情報データベースを統合管理することで、シングルサインオンを実現するための共通基盤となります。ディレクトリ情報の一元管理により、運用管理の作業負荷を大幅に削減し、セキュリティを強化できます。
OpenVAS(オープンバス)とは、セキュリティチェック用脆弱性スキャンツールです。包括的で強力な脆弱性スキャンを行うことで脆弱性管理をサポートします。対象ホストのOSやソフトウェアに既知の脆弱性が含まれているかどうかについて自動でチェックを行い、詳細レポートを作成します。
Metasploit Framework(メタスプロイトフレームワーク)とは、セキュリティ脆弱性テストフレームワークです。コンピュータセキュリティに関するオープンソースプロジェクトで、「情報収集」「脆弱性検出」「ペネトレーションテスト」などを主な守備範囲としています。
ClamAV(クラムエーブイ)とはアンチウイルスエンジンです。さまざまな「ウイルス」「マルウェア」「悪意のある脅威」などを検出します。「ファイルスキャン」「電子メールスキャン」「Webスキャン」などエンドポイントセキュリティを含むさまざまな状況で利用できます。
Snort(スノート)はネットワーク型IDS(不正侵入検知システム)です。ネットワーク上を流れるパケットを解析して、不正パターンに合致するパケットを検知したら警告を発します。「パケットスニファ」や「パケットロガー」としても利用でき、豊富なアウトプットプラグインによる機能拡張が可能です。
OpenAM(オープンエーエム)とは、オープンソースの認証ソリューションです。「認証」「アクセス認可」「フェデレーション」などの高機能を備え、シングルサインオン機能を提供します。商用製品と同等の機能が実装されており、「アクセス制御の統合/強化」「セキュリティ対策」「個人情報漏洩防止強化」などのメリットがあります。
Keycloak(キークローク)とは、WebアプリケーションおよびRESTfulWebサービス用のシングルサインオン機能を提供するアクセス管理ソリューションです。「シングルサインオン認証フレームワーク」+「管理コンソール」でシングルサインオン環境を構築するための一通りの機能を提供します。
Shibboleth(シボレス)とは、シングルサインオン機能を提供するソリューションです。連合アイデンティティソリューションとして世界で広く展開されており、ユーザーを組織内外の両方のアプリケーションに接続します。
OpenVPN(オープンブイピーエヌ)とは、オープンソースのVPN(Virtual Private Network)構築ソフトウェアです。「堅牢なセキュリティと安定性」が特徴です。
WSO2 Identity Server(ダブルエスオーツー アイデンティティ サーバ)とは、シングルサインオンソリューションです。アプリケーション/API/クラウド/モバイル間で統合ID管理を行います。
LibreSSL(リブレ エスエスエル)とは、SSL/TLSプロトコルのオープンソース実装(通信用ソフトウェア)で、「OpenSSL」の派生改良版です。圧倒的シェアを持つが問題が多い「OpenSSL」を代替できるものとして期待されています。
OpenSSH(オープンエスエスエイチ)。ネットワーク経由通信を暗号化する「SSH」のオープンソース実装です。おもにUNIX/Linuxサーバに対するネットワーク経由でのリモートログインに使用します。
OpenSSL(オープンエスエスエル)。オープンソースSSL/TLS暗号化ライブラリです。世界中のWebサイトで圧倒的シェアを持っており、事実上の業界標準となっています。
Apache DS(アパッチディーエス)。オープンソースのLDAP(ディレクトリ)サーバです。「Apache Directory」プロジェクトで開発されています。
389 Directory Server(389ディレクトリサーバ)。オープンソースディレクトリサーバです。「Fedora Directory Server」の後継で、商用製品の流れを受けており、ユーザフレンドリーなGUIツールの充実などが特徴です。
OpenIDM(オープンアイディーエム)。高い柔軟性と拡張性を備え、エンタープライズ/クラウド/モバイル/ソーシャル/レガシーなど多様な環境において、ユーザアカウントのプロビジョニングとライフサイクルの一元管理を実現するID管理製品です。
OpenDJ(オープンディージェー)。OpenAMに内蔵されており、先進的なレプリケーションアーキテクチャや「REST API」を搭載したLDAP準拠の高機能オープンソースディレクトリサーバです。
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